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2005年7月19日 (火)

パネルディスカッション(4)

水野氏の発言に続いて
宮崎
はい。経済制裁については、これはしっかりと議論していかなければならないと思いますが、その前提になる、今のお話しの中にも出てきましたが、チョット確認も込めまして、是非森本さんにお伺いしたいのですが、金正日体制が軍をどのくらい掌握しているのかどうかという話ですね。これは核の開発などにも関連してくると思いますが、先ほどの原口さんのシナリオでは、もし経済政策をとった場合には、クーデターで結局倒されるんだと言うことが考えられるという話がありましたけど、内部の状況をどのように捉えていらっしゃいますか?

森本 敏 拓殖大学海外事情研究所所長
北朝鮮の支配力というのは結局は金日成の時代から、国家主席、北朝鮮労働党の総書記、並びに国防委員会の委員長=軍の最高指導者、この3つの帽子を一人でかぶっていた。そのうちの軍の指揮官としての地位だけを存命中に現在の金正日に渡している。それは渡しても安全だと思ったから。もちろん、自分がいなくなったあと軍の支援と協力を基盤にして権力構造を維持することが一番確実だから、おそらく存命中から息子にその地位を譲ったのだろう。

だからこそ、今、依然として金正日は国防委員会の委員長という、軍事参謀委員会の委員長のような肩書きで、国家主席も、北朝鮮労働党の総書記としての身分も維持しないで、軍の最高指揮官として実体上は最高権力を握っていると言うことではないかと思います。

ところが、軍も彼に表面上忠誠を誓うということが便利であり、特権も享受でき、予算も貰い、軍人の身分もきちっと保証でき、彼らにその他の人々よりむしろ優遇された恩恵が与えられるという関係にあって、今日、権力構造が軍に支えられた、金正日体制と言うことになっているのだと思います。

本当に軍人が何処まで忠誠心を持っているかどうかというと私は疑問だと思います。というのは彼は「軍人としての実績」、「指揮官としての資質」というものを兼ね備えているとは思えない。が、しかし、彼が軍に必要な協力を求め、支援を求め、予算を落とし、地位もどんどん、軍人が何百人という人が処遇され、そう言うことによって軍は一番心地よい指導者が自分たちの上にいるということで、いわば申し上げたとおり、持ちつ持たれつという状況にあるのだと思います。

結局の所、この国は非常に特異な体制で、私は3つ問題があって、一つは後継者が組織的に育てられていない。彼は正に父親からある種組織的に後継者として育成され、ある年代に、地位も与えられ権限も与えられたが、そのようなことは彼は、息子の誰にもやっていない。つまり正当な後継者の育成を組織としてやっていない。従って何かあったときに、この国がかなりの大きな混乱を招くというのは大いに考えられる。この問題がひとつ。

第二番目に、軍人、兵隊がロイヤルだとは言いながら、実際に彼らが不満を持っていないのかというと、さきほど西岡先生がおっしゃったように、だんだん配給制度などの体質が壊れてくると、特典、恩恵を享受できた兵隊、兵士というものが必ずしも特権階級ではおれなくなって、彼らに不満がたまり、訓練にも事欠く燃料の状態がおき、戦闘機もほとんど飛べない、戦車も動かないような状況だと、結局彼らはドンドンと不満がたまってくる。それは今、申し上げたとおり持ちつ持たれつの関係でよいですけれども、何かあったときに本当に彼に対して忠誠心を持てるかというと私は非常に疑問に思っているということなんです。

裏返して言うと、第三に、したがってこの国はある種、外から圧力をぐっとかけたときに、どういう状態が起こるかというと、命令によって軍隊が動くが、しかし<継戦能力>つまり、長く軍隊を維持するのに必要な最低限の武器弾薬を、中国に依存する以外、外貨で買ったりすると言うことが十分出来ない限り、結局長く100万以上の軍隊を維持することが出来ない。

つまり張り子の虎のごとく、兵力はものすごいようですが、すごい勢いで内部崩壊していく可能性が常にあって、むしろこういう状態が我々にとって危険なのです。

危険というのはその兵士が、自らの、国家とか体制を捨てて、武器を持って日本海を渡って日本の方に逃げてくる。ある種の武器を持った難民、つまり我々の言葉で言うと『武装難民』というのがすごい勢いで日本に近寄ってくる。これは統制のとれない不安定要因が我々の前にある。これについてどうやって、防ぐかについて、日本政府は組織的なきちんとした対応処置を持っていないと言うことだと思うのです。

だから、北朝鮮の軍隊というのは実は非常に、表面上防衛白書などに書いてある数字だとか実態と内情とはかなり大きな格差があるんではないかとの印象を持っています。

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