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2005年8月 7日 (日)

国売りたまうことなかれ 序  

先に紹介した櫻井よしこさんの『国売りたまうことなかれ 論戦2005』を読んでいる。そのエッセンスは、その序文にあるのであろう。そしてそれは、私たちが戦っている拉致問題にも大きく関係している。この序文を読むとき、私たちの戦いの根源にあるものが日本にとって最も必要なことであることが再認識させられる。櫻井さんには許しを得ずに、その序文の抜粋を掲載する。

引用
あるいは大げさな表現かもしれない。しかし、日本はいま、国難に直面していると言える。内外の状況は国家としての土台を深刻に揺さぶり続けており、日本人の覚醒なしには、この国は日本であることを放棄し、無国籍国家として諦めの海に沈み行くと思えてならない。
 理由は大きく括って、ただひとつである。日本人が自国の歩んできた歴史を知ろうとしないことだ。そのために自己が何者であるか、何をなしてきたのか、なさずにきたのかの認識と把握が難しい。自分の国の歴史について十分に知らないために、他国にその歴史を論難されても検証できず、容易に、他国の立場から見た日本観をそのまま受け容れていく。他国はさまざまな政治的思惑、経済的思惑、国際社会で生き延び、さらに力をつけていくための駆け引きを考えながら、白を黒、黒を白と言いくるめる手法で、日本を論難する。その主張は事実に即したものというより、武力を使わない戦い、つまり国益のためには嘘も是とする外交の産物にすぎない。にもかかわらず、戦後60年間、日本は愚直にそうした他国の一方的批判を受け容れ、謝罪し、頭を垂れ続けてきた。(中略)
 だが、希望を捨てることはない。拉致問題の発覚は、国家のあり方、その意味や機能についてほとんど考えてこなかった戦後の鈍く長い眠りから私たちの目を醒ましてくれた。国家がしっかりしなければ、他国に拉致された国民を取り戻すことも国民を守ることもできないと、ようやく気づくことになった。危機を感じ取り、備えを整えるプロセスのなかで、この国がいかに長く無防備な時を過ごしてきたかも見えてきた。日本はもっとまともな国になってほしいという切実な願いが、国民の間で広く共有されていることを、私は感じている。
 だからこそ、この国の指導的立場にある人びとに向かって言わなければならない。。この国を支えてきた国民の心と向き合ってほしいと。そのうえで、けっしてこの国を貶めてはならない、国を売ってはならないと。この国の歴史を、じっくりと学び直すことで、必ず未来への展望が開けてくる。国難のいま、私たちは一人ひとり、心静かに歴史を振り返りたいものだ。

2005年7月15日
櫻井よしこ

(momoedake)

「国を売りたもうことなかれ」櫻井 よしこ (著)

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