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2005年8月10日 (水)

『週刊ダイヤモンド』 櫻井よし子

2005年8月6日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 603


7月26日から北京で始まった6ヵ国協議で、佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は、核、ミサイル、拉致の諸懸案の包括的な解決が必要だと、冒頭発言で強調した。

日本としては当然の条件を述べたにすぎないが、中韓両国は即、日本を批判した。中国外務省の秦剛副報道局長は同日「拉致問題は日朝の協議で解決すべきだ」と語り、「人民日報」は「日本は各国の反対にもかかわらず、協議中に拉致問題を持ち出すことに固執している」と非難した。同紙は中国共産党の機関紙で、その報道は中国政府の見方を反映したものだ。

韓国の宋旻淳(ソンミンスン)外交通商次官補も「協議では朝鮮半島非核化に集中すべきで、焦点を分散させるのは理想的ではない」と批判した。北朝鮮の核を“防衛的”と形容し、理解出来るとした盧武鉉大統領の発言などが、北朝鮮の核政策を増長させてきたことを忘れたかのようだ。

中韓両国は、6ヵ国協議で北朝鮮への援助が決まれば日本に相当部分を負担させるのは当然と考えてはいても、日本への配慮は持ち合わせていない。米国は周知のように、北朝鮮が核廃棄の措置を取ったのち、多国間で北朝鮮に対し安全の保証を与えるとともに北朝鮮が必要とするエネルギーの調査を行う、北朝鮮が核の完全廃棄を確約し核開発計画を凍結するあいだ、米国は他国の北朝鮮へのエネルギー支援を容認する、と提案した。

さまざまな局面で、日本を含む5ヵ国が協力しなければ、米国の提案も絵に描いた餅で終わりかねない。だからこそ、関係諸国の北朝鮮関連の懸案を解決することが重要だ。日本は、拉致された国民を放置して北朝鮮へのいかなる支援の実施も考えられない。500人近い韓国人が北朝鮮に拉致されていながら、拉致にまったく言及しない韓国とも、人権を軽視する中国とも、日本はおのずと価値観が異なるのだ。

中韓両国の日本に対する一方的といってもよい姿勢を見ると、最近のある体験を思い出す。雑誌「文藝春秋」の対談で北京を訪れたときのことだ。日中双方から2人ずつ出席して、私たちは歴史問題と現在の両国間の摩擦について語り合った。5時間の激論の模様は同誌に詳しいので、興味のある方は同誌8月号を見ていただきたい。

だが、文春の文脈からはよくわからないかもしれないのが、中国側の一方的な姿勢である。歴史認識は共有できなくても、史実の共有は知的に可能なはずだと考え、対談で事実関係をいくつか質した。たとえば、中国の教科書ではなぜ、朝鮮戦争は米帝国主義が始めたと教えているのか、日中戦争の死者の数がなぜ、終戦直後の320万人という主張が570万人になり、2,168万人になり、ついに3,500万人と無制限に増えていきつつあるのか、などである。

この種の事実が指摘されると、日本人ならとにかく一所懸命に説明し答えようとする。ところが、中国人はいっさい答えない。都合の悪いことは無視して、新たな日本批判の論点に移ろうとする。二度三度と同じ問いを投げかけたところ、彼らはようやく言った。朝鮮戦争はこれからの研究の成果を待つべきだと。犠牲者の数は「被害者の気持ちを考慮」した数字だと。

こうした主張を赤面せずに展開し、日本の反省が足りないと、彼らは結論づけるのだ。自国の価値観と主張しか認めないというに等しい。その姿勢は、6ヵ国協議で北朝鮮の核廃棄を実現させるために日本の立場は無視してもよいのだとする姿勢と重なる。だが、核開発を行ってきた北朝鮮をこれまで支えてきたのは、ほかならぬ中韓両国である。中韓両国の批判にめげず、日本が拉致問題を提起し続けることが重要である。

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