『ハイダールさんの訴え(レバノン人拉致被害者・シハームさんの母)』
★島田洋一 救う会副会長
救う会の島田です。
簡単にご紹介しますけれども、娘さんのシハームさんが北朝鮮に拉致されている被害者であります。
それからもうお一方、レバノンのフリーのジャーナリスト・マレック・ゲダムさん。
お母さんを助けて拉致問題の取材等もしておられます。
実はお母さん、こうして日本のテレビなんかに映されて、それを北の連中がモニターしてですね。
レバノンに帰ってから狙われるんじゃないか?というのを大変恐怖感を感じておられるんですが。
我々日本の家族会・救う会もそうですが、我々は大勢人数がおりますけども、レバノンでたった一人で北朝鮮拉致に対して闘っておられると言う状況ですので。
もし日本の集会に出てテレビに出て、お母さんが襲われる事があれば、我々日本人が許さないと・・・(大きな拍手が沸き起こり、後は聞き取れず)
時間の関係もありますので、ごく簡単に娘さんが連れ去られた経緯を一言二言言いますと、日本の有本恵子さんの場合と大変良く似ています。
北朝鮮の工作員がですね。
日本の日立で良い仕事があるんだと騙して、レバノン人の若い女性4人を1978年に連れ出したと。
日本に行くはずが北朝鮮に連れて行かれてしまったと、こういう状況であります。
お母さんアラビア語で喋られますけれども、マレックさんがそれを私に英語で通訳して、私が(日本語で)。(笑い声)
伝達するのに齟齬があるものですから、一応原稿で進めたいと思います。
★ハイダールさん
(通訳:アラビア語→英語 マレック・ゲダム氏 :英語→日本語 島田洋一氏)
日本から電話が来るはずがいくら待っててもかかって来ないので、だんだん不安が募ってまいりました。
お母さん、当時イタリアで働いておられたんですが、イタリア警察に相談に行った所、まぁ「警察がじゃあ捜しましょう」
その数ヵ月後、何と娘は日本ではなく北朝鮮にいるというニュースがやって来ました。
私はパニックに陥って訳が分からなかったんですけども、北朝鮮なんて国が果たして存在するのか?
地図の上でどこにあるのかさえ分からない。
全くどうやって連絡を取って良いのか分からない。
そういう状況でもう一度警察に訪れて助けを求める。
それしか私には出来ませんでした。
それから更に数ヶ月が経って、レバノンから知らせがあったんですが、娘のシハームがレバノンに帰って来たという事でありました。
私は早速会いました。
娘の顔が見られて幸せだったんですけれども、非常に精神的に参っている様子で健康状態も悪いと。
心配になって一体何があったんだ?と言う事を聞いたところ、娘が泣きながら、実はあるアメリカ人男性の子供を身ごもっているのであると、そのように告白されました。
私は衝撃を受けてパニックに陥ったわけですけども、しかしここは自分を納得させなければならないと努力し、いわゆる夫とそして赤ん坊が北朝鮮に出来たと。
家族が出来てアメリカ人の夫も良くしてくれるようだから、ある人との子供が出来たらその人と一生共に暮らすのが娘の考え方だと私は分かっています。
だから北朝鮮に戻るという事を私は許しました。
娘を再び北朝鮮に帰らせたというのは、大変な恐るべき私の誤りでした。
北朝鮮がどういう国か知っていたら、決して行かせなかった筈であります。
娘は27年間も(北朝鮮に)いますけど、その間数度しか会っていない。
一度北朝鮮に私行った事あります。
更に不幸な様子で、彼女の家がどこなのか?お母さんは知らされない。
娘の家を訪れる事も許されなかった。
常に北朝鮮の男、人間が4人付いていて私たちの行動を監視していた。
最後に空港に見送りに来た娘さんは大変激しく泣いたと、いう事であります。
年に一度くらいお母さんの誕生日に電話が来るそうですけど、ただお母さん大丈夫か?と聞いて、自分達は大丈夫だと言うだけであって。
彼女が話せない状況だというのは私分かってますから、質問をこちらからしようとはしません。
しかし健康状態が悪化しているという事を、色々な所から聞いていて大変心配です。
このままだと私が傍に居れないまま娘が死んでしまうのではないか?
あるいは私が死ぬときに娘が傍に居れないのではないか?
そういうような事を考えてしまう。
北朝鮮は私の娘の人生を破壊しました。
海外で働いてお母さんを楽にさせたいという娘の夢に付け込んで彼女の人生を壊したのです。
同時に私の人生をも北朝鮮は壊しました。
仕事から引退した後は娘と暮らしたいと言うのが私の夢でしたけれども、今私はレバノンにたった一人でいます。
娘も夫に先立たれて、遠く離れたところで子供3人と暮らしています。
娘シハームは私にとってたった一人の子供です。
私の願いは娘とそして孫と一緒に過ごしたい。
それだけであります。
レバノンには私を支えてくれる人がいない状況ですので、娘を取り戻すという望みはほとんど捨てかけていました。
しかし、今回こうして日本の皆様と知り合う事が出来、再び私は自分の娘をいつかは取り返せるという希望を持つ事ができました。
皆さんと共に北朝鮮によって引き離された全ての家族が共に暮らせるようになるよう、私も頑張ります。
どうもありがとうございました。(拍手)
★櫻井よしこさん
ハイダールさん、ありがとうございました。
次に韓国からのゲストをご紹介します。
朝鮮戦争のときに拉致された人々、朝鮮戦争拉致被害者家族協議会を代表しまして、前理事長の金聖浩さんにお願いします。(拍手)
(↓写真は左より ハイダールさん、通訳のマレック・ゲダムさん 島田洋一副会長)
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