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2006年2月23日 (木)

制裁発動で明確な国家意思示せ

 ◆産経新聞「正論」欄に掲載された
          西岡力・救う会常任副会長の論文全文 


■日朝協議進まぬ責任は日本側にも 
          東京基督教大学教授・西岡力 
 
         制裁発動で明確な国家意思示せ

≪言語道断な北朝鮮の要求≫
 2月4日から8日まで、北京で日朝協議が持たれた。今回は並行協議と呼ばれ、「拉致問題など懸案事項」「国交正常化交渉」「核・ミサイル問題等の安全保障」のそれぞれに関する3つの協議が並行して行われた。

 日本側は拉致問題の解決を最優先で協議に臨んだが、北朝鮮側は解決への対応を一切見せず、それどころか脱北者を支援するNGO(非政府組織)関係者ら七人を「北朝鮮人を拉致した犯人」として引き渡しを求めるなど、言語道断の要求をしてきた。

 また、「強制連行」840万人と「従軍慰安婦」20万人の被害について補償すべきだなどと歴史的事実に反する要求を出し、ミサイル発射実験の留保を解除すると脅してきた。

 拉致問題協議の日本代表であった梅田邦夫外務省アジア大洋州局参事官は、協議における北朝鮮についての印象を次のように報告した。

 第1に、日本の世論をものすごく気にしている。

 第2に、日本の総連施設の固定資産税課税、RCC(債権回収機構)の取り立て、船舶検査の厳格化、朝鮮学校への補助金見直しなどを経済制裁と受けとめ、

 第3に、拉致問題の国際化を気にしている。

 今回の協議での北朝鮮の不誠実な対応は、米国の金融制裁に悲鳴を上げつつ日本がそこに全面的に加担することを恐れ、拉致の協議に応じつつ具体的進展は図らないという「時間稼ぎ」戦術をとってきた表れとみるべきだろう。

 確かに梅田参事官の報告通り、少しずつ日本からの圧力は効きはじめているが、まだ足りないというわけだ。

 筆者は1月12日付の本欄で、「北朝鮮国会議員を務める総連幹部の北朝鮮への自由往来中止、総連施設への固定資産税減免廃止を行うとともに、拉致を理由とする経済制裁発動に踏み切るべきだ。時間稼ぎが通用しないと金正日に分からせた後に、はじめて実質的な協議が始まる」と書いた。いまこそそれらを断行すべきだ。

≪拉致頻発の最中に税減免≫
 2月2日、福岡高裁は「救う会熊本」が熊本市長を相手に起こした訴訟で、「熊本市による朝鮮会館の課税減免措置は違法」とする画期的な判決を下した。

 そもそも、朝鮮総連とその組織員に対する課税行政は大変不透明だった。彼らは、自分たちは1976年に国税当局と5項目の合意を交わしており「団体交渉権を持っている」などとうそぶき、所得税、法人税の事実上の特権を得ていた。
その流れの中で1970年代以降、各自治体はきちんとした審査を行わないまま固定資産税の減免措置をとってきたのである。

 ちょうど同じ時期に多くの日本人が北朝鮮に拉致されていった。その中には原敕晁さん拉致事件のように、朝鮮総連組織員が積極的に加担した事件もあった。

 30年近くたった今も多数の拉致被害者が北朝鮮で捕らわれたままだ。それなのに、いまだに税務上の特権は認められている。

 熊本市長は15日、高裁判決を不服として上告した。熊本市からは松木薫さんという拉致被害者がいる。一体、市長は誰の味方なのか。

 一方、日朝協議で拉致問題が進展をみなかったことで、政府は、関係省庁で構成する「拉致専門幹事会」を「拉致問題特命チーム」に改名し、北朝鮮と朝鮮総連に対してあらゆる現行法を厳しく適用して「圧力」を一層強化する方針を決めたという。

 法令上は各種学校にすぎない朝鮮総連の民族学校に、自治体が出す補助金も中止すべきだ。総連が民族学校への補助金を求めるなら、まず金日成・金正日親子への神格化教育をやめるなど、法令の基準をきちんと満たすべきだ。

 また、総連傘下の在日朝鮮人歌劇団が公演をする際、自治体が後援し、一部では資金援助さえ行われて問題になっている。これも見直しが必要だ。

≪内部矛盾が高まる金政権≫
 政府は、北朝鮮への送金停止、万景峰92の入港禁止などの経済制裁は「最終手段」として当面ひかえる考えとも伝えられるが、事実とすれば、大変残念な決定だ。

 米国が金融制裁などで強力な圧力をかける中、金正日政権の内部矛盾は高まっている。日本から食料や経済支援を得るには、すべての拉致被害者を無事帰国させるほかないとの認識を、金正日本人はもちろん、政変が起きた場合に権力を握る可能性が高い軍や政治警察、党の最高幹部らに持たせなければならない。

 そのため日本が拉致を理由に経済制裁を発動し、明確な国家意思を示すことが絶対に必要なのだ。

救う会ニュース(2006/2/22付より)

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