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2006年2月23日 (木)

■スパイ「朴」の逮捕状

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  ■スパイ「朴」の逮捕状
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   (調査会ニュース2006/2/23より)   

        荒木和博

 今日、警察当局が辛光洙と西新井事件のスパイ「朴」の逮捕状を請求するとのニュースが出ています。私は年末年始から出ている情報そのものについては懐疑的ですが、この2人が北朝鮮の工作員であることは明らかなのですから、逮捕状請求が色々な意味で一つの前進であることは間違いないと思います。

 ただし、注意しておかなければならないのは、このこと自体は「被害者救出」の前進ではないということです。逮捕状をとったところで日本の警察が北朝鮮に乗込んで辛光洙や「朴」を逮捕して連れてきて、その証言によって拉致被害者が帰ってくるという可能性はほぼゼロと言っていいでしょう。しかも、彼らがかかわったと報道された事件の中で、帰ってきていないのは横田めぐみさんと小住健蔵さんの2人だけです。

 あらためてご理解いただきたいのですが、最優先されるべきは拉致被害者の救出であり、事件自体の真相究明はその後の問題だということです。今真相を究明すべきことがあるとすれば、拉致被害者が北朝鮮のどこにいて、どうしているかということに尽きると思います。

 一般の方々の中で、警察が拉致問題を解決できると勘違いしている方がおられますが、警察が果たせる機能は拉致問題解決の一部でしかありません。事件捜査として成り立つものを調べるのが警察の基本であり、いわんや北朝鮮にいる人を助け出すことは警察の仕事ではありません。

 曽我ひとみさんの拉致も警察は気付いていませんでした。そして曽我さんが拉致だと分かったときも、気付かなかったことに対して警察庁長官も、新潟県警本部長も、誰も責任をとりませんでした。つまり、警察には(他の機関も同様ですが)誰が拉致被害者であるかを調べる責任もないということです。

 そして、外交交渉だけで拉致が解決しないことは先日の日朝協議でも明らかです。警察の捜査→認定→外交交渉という今のやり方と別のやり方を、少なくとも現行の対応に並行させない限り、拉致被害者は北朝鮮でその命を終えることになります。

 そうなったとき、誰がどう責任をとるのか。現行のやり方だけであれば、官邸と警察、外務省が取らされるのでしょうが、こんなことをしているうちに被害者が亡くなりでもしたら、その責任は議員バッチを外したり、役所を辞めたりすることですむものでないことはいうまでもありません。もちろん、救出運動に携っている私たちも相応の責任を負わなければならないでしょうが。

 年初の警察庁長官の言葉にもあるように、警察が今、拉致問題で積極的に取り組もうとしていることは明らかです。ならば、過去の事件もさることながら、現在有害行為を行っている工作員や日本人の協力者を1人でも多く摘発してもらいたいと思います。国民の安全を守るという意味では辛光洙や「朴」の逮捕状以上に効果があると思います。

 ともかく、何度でも言いますが、優先されるべきは「全員の救出」であることを、1人でも多くの方がご理解下さいますよう、お願いする次第です。

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