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2006年3月16日 (木)

予算委員会議事録から拉致関連 (2006/3/8)

予算委員会議事録から拉致関連

○委員長(小野清子君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十八年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。山根隆治君。

山根隆治君 
 次に、北朝鮮の問題についてお尋ねをいたします。
 まず最初に、日本人妻の問題であります。
 昭和三十四年に始まりました北朝鮮へのいわゆる帰国運動、これはどのようなものであったのか、そして北へ行った方々の数、帰国された方々の数、それらについて政府委員の方から御答弁をお願いいたします。

政府参考人(大槻勝啓君) 
 お答え申し上げます。
 昭和三十四年から開始をされました北朝鮮への帰還事業によりまして帰還をされました在日朝鮮人の方々等の数につきましては、約九万三千人強となっているところでございます。
 以上です。


国務大臣(麻生太郎君) 
 よう質問の意味が取れていないと思いますので、私の方から。
 昭和三十四年から開始されております帰還事業のことだと存じますけれども、今役人の方から答弁いたしましたとおりに九万三千三百四十人とされておりますけれども、その中で朝鮮半島出身者である夫や父などに随伴して北朝鮮に渡航いたしました妻、子供、約六千人の内地出身者が含まれていたと言われております、これ正確なところではありませんけれども。この中で、いわゆる日本人妻と推定される方の数は一千八百三十一名ということになっております。

山根隆治君 
 帰ってこられた方々はどの程度になっていますか。日本に、日本に。

政府参考人(梅田邦夫君) 
 お答えいたします。
 平成九年、平成十年、平成十二年の三回にわたり一時帰国されておりますけれども、日本人配偶者の方の数は総計で四十三名でございます。
○山根隆治君 多くの方々が物故されているというふうに情報が来ておりますけれども、それらの方々の、物故者の死因はどのように認識されていますか。

政府参考人(梅田邦夫君) 
 いろいろ北朝鮮側に対しましては照会をしておりますけれども、満足のいく回答は来ておりません。非常に残念でございます。
○山根隆治君 脱北された方々からの情報、告白と、勇気ある告白。東京、大阪でそれらの方々の集会というものもございまして、そこからのお話等を聞かせていただきますと、やはり日本人妻は向こうに行っても差別を相当受けて、飢餓で苦しみ、そして多くの方々が亡くなっておられまして、日本人妻一千八百名を超える方々の多くがもう既に亡くなっているのではないかという報告もあるわけでございます。
 私は、やはり自分の御意思で北朝鮮に行かれたということではあっても、やはり子供さんがおられたり家庭の事情で北朝鮮に行った。そのときは、向こうは本当に地上の楽園だということで宣伝されて行ってしまったということがあるわけでありまして、向こうに行かれても日本人妻、日本の血が脈々と流れている方々であるわけで、そうした方々のやっぱり安否の確認というものをしっかりとすべきだろうというふうには思いますけれども、これらの安否の確認についてはどのように対処されようとするか、お尋ねします。

国務大臣(麻生太郎君) 
 誠にごもっともな御指摘なんだと存じます。
 政府としては、この日本人妻の安否の確認につきましては、これはいわゆる人道的観点から取り組むべきことということに思っておりまして、残念なことに北朝鮮との間に正式な国交というものがございませんので、いわゆる取り得る手段、調査の手段というものに限界がありますので、昭和五十二年以後、いわゆる日本人妻の家族に対するアンケート調査を実施ということで、御家族の要望に基づきまして、赤十字のルートを通じまして北朝鮮側への安否のいわゆる調査、要望というものを行ってきております。これに対して北朝鮮の方から、これまで若干名の安否についての連絡や手紙の伝達があった、若干名です。
 で、今年、本年二月に、過日行われました日朝包括協議におきましても、日本人妻の安否の確認という問題について、改めて日本側から提起をしております、こちらの方から。それに対して向こうからは、調べるという程度の話なんですけれども、重要なこれは人道案件と思っておりますので、これは拉致の話以前からの話でもあろうと思いますんで、私どもとしては、引き続き努力をいたしたいと思っております。

山根隆治君  
今回の日朝包括協議の中で、本当にとんでもないことを向こうの方で問題提起してきております。脱北者を支援するNPOの活動家の引渡しの要求をされたり、それから強制連行として八百四十万人の方々、それから従軍慰安婦が二十万人だったというふうなことで補償要求されたり、とんでもない話をしているわけでございますけれども、私は、もう本当にこの日本人妻の問題というものについても、やはり拉致と並行させて強くこれからも日朝協議の場で働き掛けていただきたいというふうに思います。
 もう一度、外務大臣の方で決意のほど聞かせてください。


 国務大臣(麻生太郎君)
 今御指摘のありましたように、あの当時、我々の年齢だと、あの当時どれくらい喧伝されたかという記憶のある世代なんですけれども、何となくえらく地上の楽園かのごとき話で、何となくそういうものだと思って行かれたまんま、非常に今言われた差別の問題を含めて飢餓状態とか、いろいろ断片的には私どもも情報が入ってきているところではあるんですけれども。
 いずれにいたしましても、こういった形で一時、三回にわたって帰国されたという、一時帰国みたいな形の例はありますけれども、何となく妙に着飾って、いろいろ当時の状況としては双方いろいろあったんだとは思いますけれども、いずれにいたしましても、本人の希望があれば私どもとしては是非という、帰国を希望されるのであれば是非という思いが私ども強くいたしておりますので、これ人道的見地からも、外務省としては今後とも積極的に継続をして言い続けなければならぬ大事な問題だと思っております。

山根隆治君 
 それでは、続きまして、拉致の問題に移らせていただきたいと思います。
 文芸春秋の三月号で、韓国の元国家安全企画部の高洙吉元捜査官の証言というものが載っておりまして、日本も国際指名手配しました辛光洙容疑者について、直接いろいろな事情聴取、取調べをされたようでありますけれども、その中で大変驚くべき、注目すべき記事がございました。つまり、拉致というのは直接金正日総書記の方から指示されたという、指示を受けたということが書いてあるわけでございます。
 もしこれが事実とすれば、大変な国際問題、もう既に国際問題になっておりますけれども、国家的な犯罪ということにもなるわけでありますけれども、もしそうしたことが事実であったとすれば、これは当然引渡要求というふうな形になってくるかとも考えられるわけでありますけれども、これらの重大な供述に対して、記事に対してどのような御認識をお持ちだか、官房長官の方からお尋ねいたします。

国務大臣(安倍晋三君) 
私はその記事について詳細はよく承知はしていないわけでありますが、いずれにいたしましても、二〇〇二年の九月十七日に小泉総理訪朝した際、金正日委員長として国家としてのかかわりを認め、謝罪をしたわけであります。そういう意味からいえば、国家的犯罪であったのは間違いないと、このように思っておりますし、国家の機関がかかわったのは間違いなかったと、こういうことではないか。
 この問題については、我々、生存者の全員の帰還、そして真相の究明、また実行犯の引渡しを強く求めていっているわけでありまして、日朝間の最大の懸案であり、この解決なくして国交正常化はないと、この考えの下に、これからも粘り強く交渉をしていきたいと、こう考えております。
○山根隆治君 特定失踪者問題調査会というのが御承知のようにございまして、ここは二百五十三名の氏名というものを公表されて、今も情報を集められておられます。そして、その中の三十四名の方については拉致の可能性が極めて高いとされているわけであります。
 政府の認定した方とは別に、そうした多くの方が、民間の調査機関でありますけれども、拉致の可能性が高いと、こうされているわけでありますけれども、これらの方々の救出については、政府としてはどのような対応をされようとしているのか、お尋ねをいたします。

国務大臣(麻生太郎君) 
  いわゆる特定失踪者、通称千番台とかいろんな表現がございますけれども、この特定失踪者、今いろいろ、人数はちょっといろいろ言い方があるんですけれども、一応確率が高いと思われる方が、今、山根先生御指摘になったとおり三十四名ということになっております。
 これまでに全然話が進んでおりませんでしたので、二月の日朝包括並行協議において私どもの方からいわゆる千番台のリストを、三十四名のリストを向こうに提出しております。これを、そして改めて関連情報の提供を求めたというのがあの二月のときの経緯です。これに対して北朝鮮側は、この協議において、リストだけでは確認できないので、もう少し日本側からの関連情報の提供があれば、関連情報の提供があれば特定失踪者の調査は行う旨の回答はいたしております。
 したがいまして、政府としては、いわゆる北京の大使館ルートを通じまして情報提供を早急に行うべく関係者と調整を行っておるんですが、本来情報を出すべき立場にあるのは北朝鮮であってこっちじゃないということが一番のところなんだと思いますけれども。なかなか、これ出すと、何となく危険を感じたり、いろいろ難しいところがありますので、どの程度まで出していいのかはよく、よく御本人というかこちらに残っておられる御家族の方々の了解も得なきゃいかぬというところなんだと思いますので、そこらを打ち合わせの上、きちんと提出させていただきたいと思っております。
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