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2006年4月 9日 (日)

NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮  第三集「核開発を巡る戦慄」(3)

<ナレーション>
北朝鮮は、核の闇市場に手をのばしていました。

 ◆映像:アブドゥル・カティール・カーン博士

パキスタンのアブドゥル・カーン博士から新たな核開発の技術を手に入れたと見られています。

  ◆映像:遠心分離器(資料写真)

遠心分離器による高濃縮ウランの製造。
大きな設備を必用とせず、地下での開発が可能なため、偵察衛星では捕らえられないと考えられています。
米朝合意から4年たった98年、アメリカが約束した軽水炉の建設や、関係正常化の協議が滞る中、北朝鮮は、ふたたび危機をあおります。
弾道ミサイルテポドンの突然の発射です。

  ◆映像:弾道ミサイルテポドンの発射実験 (1998年8月)

アメリカは北朝鮮の挑発に乗らず、対話に動き出します。
アメリカは北朝鮮に対して食料援助を行いました。
朝鮮半島では韓国の宥和政策のよって、南北の和解ムードが広がりました。

  ◆映像:ウルブライトが、北朝鮮の子供と一緒に踊る様子

そうした中、国務長官ウルブライトがピョンヤンを訪問。
金正日総書記は朝鮮戦争以来、敵対してきた関係の正常化を求めました。

―――ウルブライトとの会談での金正日総書記の発言―――――――――
3時間の話し合いだけでは、50年間の問題は解決できないでしょう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

<ナレーション>
アメリカの急速な歩み寄りで、関係改善は進むと北朝鮮は考えていました。
しかし、アメリカの政権交代が、北朝鮮との関係を大きく変えていくことになります。

――ジョージ・ブッシュの演説――――――――――――――――――
北朝鮮は飢える国民に目もくれず、大量破壊兵器で武装し続けている。
彼らとテロリストたちは悪の枢軸だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――

<ナレーション>
新たに発足したブッシュ政権は、クリントン時代の政策を否定。
強硬姿勢を打ち出しました。
対北朝鮮戦略を練ったのは、去年まで国務副長官を務めた、リチャード・アーミテージです。

――リチャード・アーミテージ―――――――――――――――
クリントン政権の時に北朝鮮は信用できない事がわかりました。
彼らが善意ある行動を取らなければ安全は保障しないと
警告する必用があったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――

アーミテージが作成した報告書です。

 ◆映像:報告書『北朝鮮に対する包括的アプローチ』

――アーミテージの報告書―――――――――――――――――
クリントン政権は北朝鮮に瀬戸際外交がうまくいくことを教えてしまった。
核兵器開発は終わっていない。抑止と封じ込めで、圧力をかけるべきだ。
―――――――――――――――――――――――――――――

<ナレーション>
アーミテージの下、北朝鮮との交渉に望んだのが、国務次官補のジム・ケリーでした。
2002年、高濃縮ウラン開発の確証を掴んだとして、平壌に飛びます。
交渉相手は、カン・ソクジュ第一外務次官でした。
ケリーの追求に疑惑を認めたとされています。
問題を解決するため、首脳会談と、関係正常化を迫りました。

――ジム・ケリー国務次官補―――――――――――――――――
北朝鮮は94年の米朝合意を恋しがっているだけでした。
しかも、より大きな見返りを狙っていました。
しかし、そのような取引は、北朝鮮が核兵器開発を完全に放棄しない限り絶対にありえません。
――――――――――――――――――――――――――――――
<ナレーション>
北朝鮮の要求をはねつけたアメリカ。
一方で北朝鮮と同時に悪の枢軸と名指ししたイラクへの攻撃準備を進めていました。
北朝鮮は再び、核のカードを切り始めます。
8年間凍結していたニョンビョンの核施設の稼働を再開すると発表。
その後、NPTを脱退しました。

そして去年2月、

 ◆映像:朝鮮中央テレビ(去年2月)
  ――――――――――――――――――――――――――
   我々は自衛のため 核兵器をつくった
   自由と民主主義を守るため、核兵器庫を増やしていく
  ――――――――――――――――――――――――――

  ◆映像:六カ国協議の模様 (去年11月)

<ナレーション>
今アメリカは中国や日本などと共に、対話によって北朝鮮に核の放棄を迫っています。
同時に金融制裁で圧力をかけ、追い詰めようとしています。

北朝鮮は、核兵器保有国となった以上、一歩的な放棄を迫られるのは不当だと主張。
新たな軽水炉の提供を求めています。

――アーミテージ前国務副長官――――――――――――――
私たちは、これまで北朝鮮徒向き合うたび、
譲歩せざるを得ませんでした。
貧弱なカードをとても、巧みに使いこなします。
しかし、私たちは以前ほど、
北朝鮮の瀬戸際外交を恐れてはいません。
――――――――――――――――――――――――――――

―――ジム・ケリー前国務次官補―――――――――――――
北朝鮮が核兵器を放棄しなければ、
将来多くの国々と幅広い関係を結ぶこと不可能です。
そのことを、彼らにはっきりとわからせなくてはいけません。
――――――――――――――――――――――――――――
<ナレーション>
ニョンビョン核研究センター
今も、北朝鮮の核兵器開発は続いていると見られています。

  ◆映像:ニョンビョンの最新の衛星画像(3月13日撮影)

最新の衛星画像、これまでの10倍の規模を持つ原子炉の開発が進められているとアメリカはみています。更に高濃縮ウランの開発が地下の奥深くでおこなわれている進められて言われています。
アメリカは北朝鮮の核関連物質や技術が拡散する事を恐れています。

  ◆映像:軍隊のパレードの様子

圧力をかけても、対話を求めても、北朝鮮は核開発を止めようとしていません。

―――ロバート・ガルーチ ―――――――――――――――
同じ事が繰り返されているような気がします。
北朝鮮はかつてと同じ交渉を求め、同じ見返りを迫っています。
彼らのひつこい取引は我々にとって不愉快ですが、
つきあい続けるしかありません。
――――――――――――――――――――――――――――

  ◆映像:北朝鮮の子供達が軍服を着て、
      キム・イルソンを称える歌を歌いながら行進しているところ

軍が全てに優先する得意な軍事国家、北朝鮮。
核がもたらす危機をいかに回避するか?、
世界はその答えを未だに見いだしきれずにいます。

    
              ~~~終了~~~

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NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮 第一集「個人崇拝への道」(1)
NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮 第二集「隠された世襲」(1)

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コメント

第三集を見逃していたんで、ここを見られてラッキーでした。

しかしまあ、テキスト起こし手間かかったでしょうね。ご苦労様です。

ありがとうございました。



アメリカはイラクの対応と比べるとずいぶん弱腰だという気がしました。プエブロ号事件のトラウマですかね。当時は背後のソ連、中国が気になったということもあるのかな?

やっても奪えるもの(石油)が無いというのが、現実的な答えなんでしょうね。

投稿: 岩手の田舎人 | 2006年4月18日 (火) 02時07分

BBRさん、

コメントありがとうございます。

世界を巻き込んで、早く解決に向かうよう望んでいます。今後とも宜しくお願いします。

投稿: 金木犀@Blue jewel | 2006年4月16日 (日) 22時05分

シリーズ最終回にTBさせていただきました。

Transcriptすごいです。手間暇かかってますね。



北朝鮮に関しては、ようやくアメリカが「もう騙されないぞ」と本気になってきた様子です。



自国通貨をおちょくられたような状況で、スイッチが入ったんでしょうか。



中国を含めた駆け引きを注視する必要がありそうです。

投稿: BBR | 2006年4月14日 (金) 01時03分

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受信: 2006年4月14日 (金) 00時57分

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