« NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮第一集「個人崇拝への道」(2) | トップページ | 「自由北韓放送」について(2) »

2006年4月13日 (木)

NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮第一集「個人崇拝への道」(1)

NHKスペシャル
『ドキュメント北朝鮮第一集』を文字化してみました。
貴重な証言だけでもテキストに残しておきたかったので、よかったら、みなさんも参考にしてください。


D11

 
 
 
 
 
 
 ~導入~
<ナレーション>

厚いベールに閉ざされた国、北朝鮮。
個人崇拝による独裁体制は何故今も維持されているのか?
拉致やテロは誰が指示し、何故繰り返されたのか?
そして核兵器開発はどこまで進んでいるのか?
多くの謎が世界を脅かし続けています。

私たちは、北朝鮮の謎を解き明かす手がかりとなる一万二千ページの秘密文書を世界各国から入手しました。旧社会主義国の党幹部や、外交官が間近に接した北朝鮮の実情を克明に記した資料です。
その記述を元に、歴史的事件の渦中にいた当事者200人あまりを取材。
北朝鮮の知られざる姿に迫りました。

3回シリーズの一回目は強固な独裁体制を作り上げたキムイルソン(金日成)の真実です。
その後巨大な権力を手にしていく課程が明らかになりました。

―――~金日成の映像~―――――――――――
我々のやり方でやっているので滅びない。
我が党は世界でも類を見ない「絶対党」なのだ。
――――――――――――――――――――――

<ナレーション>
建国当初ソビエトから見いだされ指導者となった金日成。
その後個人崇拝を強め、巨大な権力を手にしていく課程が明らかになりました。
いかにしてソビエトの統制を離れ独自の路線を突き進んできたかその軌跡を辿ります。

  ◆映像:証言者との面会の様子

<ナレーション>
2回目は金正日総書記台頭の謎です。
1970年代から80年代にかけて北朝鮮が繰り返した日本人拉致。そして、多くの犠牲者を生んだテロ。
旧東ドイツ秘密文書は、金正日総書記がこの頃、すでに国家の前活動を指揮していたことを明らかにしています。
社会主義では前例がない権力の世襲をどのようにして実現させたのか、その謎に迫ります。

3回目は国際社会を震撼させる核開発です。
核をカードに大国を翻弄する北朝鮮。
映像:六カ国協議の様子

――アメリカ米国務長官――――――――――――――――――
北朝鮮はいつも強硬姿勢を崩さず、我々は譲歩せざるを得ません。
彼らは貧弱なカードを巧みに使いこなします。
――――――――――――――――――――――――――――

北朝鮮との交渉に当たったアメリカの当局者を取材。
瀬戸際外交の裏に隠された、北朝鮮の野望を描きます。

  ━━━━━━━━━━━━
  第一集「個人崇拝への道」
  ━━━━━━━━━━━━

人口およそ2300万の北朝鮮。
首都平壌の中心に金色の巨大な銅像が建っています。
建国の父とされるキムイルソン(金日成)です。
人物の銅像としては世界最大規模と言われます。

  ◆映像:花を捧げる市民

北朝鮮の強固な独裁体制を支えているのは金日成に対する個人崇拝です。
その個人崇拝は、数々のプロパガンダによって築き上げられてきました。

建国の歴史を描いた北朝鮮の記録映画です。

  ◆映像:日本軍を撃退する朝鮮軍

―――映像の朝鮮語ナレーション―――――――――――――――――――
私金日成は、朝鮮人民革命軍に祖国解放のための総攻撃を命令した。
日本帝国主義者に強烈な打撃を与え、退散させた朝鮮人民革命軍によって
我が国の開放は成し遂げられた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

<ナレーション>
金日成が朝鮮人の軍隊を指揮し、祖国を日本から開放したとしています。
個人崇拝の原点である、この建国の物語は事実なのでしょうか?

私たちは北朝鮮建国に至る経緯を記録した機密文書を独自に入手しました。
朝鮮半島北部を占領したソビエト軍が作成した非公開の内部資料です。文書には金日成の経歴が記されています。金日成は19才の時から、中国東北部、旧満州で抗日ゲリラ活動をしていました。その後、ソビエトのハバロフスクに逃れソビエト極東軍の88旅団に参加しました。記録映画にある朝鮮人民革命軍の記述はありません。88旅団はソビエト軍が養成した朝鮮人と中国人の部隊でした。記録映画では、金日成は朝鮮人民革命軍の司令官とされていますが、ソビエト軍の文書では一部隊の部隊長となっています。

  ◆~モスクワ郊外の映像~

私たちは88旅団を指導指揮していたソビエト極東軍の将校を探し出しました。
ワシーリー・イワーノフ84才。金日成の上官でした。ワシーリーは、88旅団で金日成に様々な戦術を教えました。金日成の主張する朝鮮人の軍隊の存在を即座に否定しました。

  ◆映像:当時の写真

――ワシーリー・イワーノフの証言―――――――――――
金日成の主張には賛成できません。
朝鮮軍など存在しませんでした。
存在しなかった軍隊に金日成は命令したのでしょうか?
――――――――――――――――――――――――――
<ナレーション>
日本が統治していた朝鮮半島に侵攻したのはソビエト軍でした。
イワーノフは金日成はこの戦闘にも参加していないと証言しました。

――ワシーリー・イワーノフ(ソビエト極東軍)の証言―――――――――――
キム・イルソンたちは戦争に参加する準備をし、参戦したいとアピールしました。
しかし我々ソビエト軍の司令官は金日成を戦争に参加させませんでした。
彼らは大した貢献ができないと判断したからです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

<ナレーション>
朝鮮半島北部を占領したソビエト。
友好的な政権をつくろうと考えたスターリンにとって、重要なのは誰を指導者に選ぶかと言うことでした。

  ◆映像:スターリン、メクレル(ソビエト軍特別宣伝部長)の写真

指導者選びの任務を負った一人が、ソビエト軍の特別宣伝部長、グレゴリー・メクレルです。
様々な候補者と面接し、能力だけでなく、ソビエトへの忠誠度を測りました。
ソビエト軍の秘密文書の中に、メクレルの報告書があります。

  ◆映像:外交文書/チョ・マンシクの写真

面接した政治家の一人が、チョ・マンシクです。チョ・マンシクは朝鮮のガンジーと呼ばれた63才の民族主義者。
朝鮮の人々に最も知られた、信望の厚い政治家でした。
しかしメクレルは指導者としてふさわしくないと判断しました。

――メクレルの報告書――――――――――――――――――
チョ・マンシクは反共産主義的である。
表向きはソビエト指導部を支持しているように見えるが、
実際には朝鮮人民とソビエトとの友好に反対している。
彼は我々の信用に値しない。
――――――――――――――――――――――――――――
<ナレーション>
メクレルも健在でした。
しかし、このあと96才で無くなりました。

  ◆映像:メクレルとの面会の模様。
      取材記者に対してメクレルが日本語で「初めまして」
      「とてもうれしい」「とてもおもしろい」と答える様子

――メクレルの証言―――――――――――――――――――――――――――
私は金日成の能力を確かめるため、朝鮮の情勢に関し、様々な質問をしました。
彼は長年海外で抗日活動を続けていたため、
朝鮮のことは何も知らないと思っていました。
しかし、キム・イルソン(金日成)は私の質問にとても的確に答えました。
朝鮮の情勢に通じている人の答えでした。私はとても満足しました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<ナレーション>
メクレルは、キム・イルソン(金日成)の存在を人々にアピールするため、ソビエト軍の歓迎集会を利用しようと考えました。
数万人の観衆を前に、キム・イルソン(金日成)を抗日闘争の英雄として紹介したのです。
このとき33才。しかし人々は意外な反応を示しました。

――カン・インドク(歓迎集会に参加していた)の証言―――――――
キム・イルソン将軍という名前は知られていたため、
かなり年を取った人が出てくると思っていました。
しかし、出てきたのは、単なる若者でした。
人々は騒ぎ始めました。「あれは何だ、偽物じゃないか?」
会場は大変な騒ぎになってしまいました。
――――――――――――――――――――――――――――――――
<ナレーション>
偽物説が広がると指導者として受け入れられないのではないか?
懸念を増したメクレルは策略を練りました。

―――メクレル証言――――――――――――――――――――――――――
私はキム・イルソン(金日成)に指示しました。
貴方の故郷に行くと発表しなさい。希望者を一緒に連れて行きなさい。
キム・イルソンは私の指示通り、故郷の訪問をラジオで発表しました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

  ◆画像:故郷訪問の写真

<ナレーション>
故郷の人々と再会するキム・イルソン(金日成)の写真です。
メクレルはこの訪問を新聞でも宣伝し、偽物説を打ち消しました。

メクレルの報告を受けた最高幹部がモスクワに送った秘密文書です。
キム・イルソン(金日成)こそ指導者にふさわしいと結論づけています。

―――(報告書の内容)――――――――――――――――――――――――
キム・イルソンは、日本帝国主義に立ち向かった英雄として有名である。
彼の名は朝鮮人民の幅広い層に知られている。
朝鮮で統一戦線を創設するとき、キム・イルソンを
その指導者に据えるべきである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

<ナレーション>
ソビエトが撮影した戦後初の選挙の時の映像です。

  ◆映像:演説するキム・イルソン(金日成)

メクレルから与えられた様々な指示をキム・イルソン(金日成)は忠実に実行に移しました。

ドキュメント北朝鮮第一集(2)

◆―――――――――――――――――――――――――◆
この記事が参考になった方は、下記バナーをクリックしてください。

|

« NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮第一集「個人崇拝への道」(2) | トップページ | 「自由北韓放送」について(2) »

コメント

レイナさん、
読んでいただいて、ありがとうございます。
「歴史の証人」たちの証言を、文字で記録しておきたかったのです。
少しでもお役に立って、とても嬉しいです。
こちらこそありがとうございました。

投稿: 金木犀@Blue jewel | 2006年4月17日 (月) 21時30分

「ヒロさん日記」から飛んで来ました。
私も海外在住なので、書き起こし、とても助かります。どうも有難う!

投稿: レイナ | 2006年4月16日 (日) 23時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/35960/1499302

この記事へのトラックバック一覧です: NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮第一集「個人崇拝への道」(1):

» ドキュメント北朝鮮 [んなアホな!]
『NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮』 4月2日(日)からの3夜連続放送でした。 資料や証言を元に上手く構成されていて良かったです。 録画してなかったけど、再放送があるのなら録画しておきたいです。 特に私が良かったと思うのは2回目、金日成から息子の金 [続きを読む]

受信: 2006年4月12日 (水) 11時28分

» NHK15年ぶりの大作:北朝鮮「個人崇拝への道」 [ヒロさん日記]
NHKスペシャル『個人崇拝への道』では、パルチザン派として少数派だった金日成が、国内派、ソ\\連派、中国派を次々と巧みに粛清していく過程が描かれている。これに関連して、「酔夢ing Voice」ブログに寄せられたコメントは興味深い。 [続きを読む]

受信: 2006年4月16日 (日) 08時43分

« NHKスペシャル ドキュメント北朝鮮第一集「個人崇拝への道」(2) | トップページ | 「自由北韓放送」について(2) »