木村晋介氏の講演(神奈川県民集会)
2006年4月16日
横浜開港記念館にて
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木村晋介 法律家の会共同代表のお話
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大変大勢の方にお集まりいただいて、大変私たちも心強く思っております。
私ども法律家の会、3年前に発足しまして、拉致被害者の方々のために一つでも何か法律家として応援出来ることは無いか?ということでやっております。
この拉致の問題がもっとも人道上憎むべき人権犯罪であるということは、言うまでもない事でございます。
私たちは自分で自分の人生考え、誰とどのように生き、何を夢見て何をして生きていくのかと言う事を自分で決めていくという基本的な権利を持っております。
これを根こそぎ奪ってしまうのが拉致と言う犯罪であります。
しかしこの拉致と言う犯罪は、その拉致をした瞬間に終わる物ではなく、拉致された瞬間から開放されるまでその人権侵害は止めないんです。
そういう継続的な根こそぎ的な物であると言う事を、私たちは深く心に刻まねばならないと思います。
国際法の中でもこの拉致は強制失踪とされまして、大変重い人道上の罪でございます。
そして位置づけられております。
今日一日、今一刻、私達がここでこうして話をしている間も人権侵害は行われているんです。
今続いているんです。
そういう意味で拉致と言う人権犯罪は寸暇と言う物を許さない。
特別の人権犯罪だというふうに私どもは思っております。
先般大阪で、原敕晁さんと言う拉致被害者の方の関係で、3月の23日に朝鮮総連系の商工団体と(拉致の)関与が疑われている中華料理店の強制捜査と言うことがありました。
が、原敕晁さんが拉致されたのは26年前の事でございます。
26年前に起こった犯罪なのになぜ今頃?と言う声があるかもしれませんが、今でもそれが出来るという事はそれだけこの犯罪が現在尚行われ続けている犯罪だと言う事を国家が正式に認めたと言う事であります。
しかも強制捜査と言う事は、これは警視庁公安部がやっている訳でございますけども、警視庁の公安部の判断だけで出来るものではありません。
裁判所から捜索令状が出て初めて出来るわけです。
それは拉致と言う犯罪が今今日尚犯され続けている犯罪であると言う事について、司法の判断がなされた言う事をも意味しているわけでありまして、その解決と言うものが私どもは改めて肝に銘じなければいけないだろうと思っております。
北朝鮮の教育では政治の名称を北朝鮮民主主義人民共和国といっております。
民主主義を名乗る国家でありますので、当然ながら憲法と言う物を持っております。
この憲法の中ではどういうことが謳われているかと言いますと、一切の人民は性別・民族・信仰・技術・財産・知識の如何に拘らず、全ての部門において平等の権利を有すると言う事が定められています。
そして人々は言論・出版・結社・集会の自由も持つというふうに規定されています。
信仰の自由も認められております。
こうした憲法を持つ国でありますが、その実態が、この憲法に約束された物といかに異なるか?という事について、皆さんもご承知の通りの事でございます。
今の北朝鮮は人権以上の事態になっているといって過言ではありません。
北の労働党の政策によって厳しい身分差別が行われております。
党に友好的な勢力を確信勢力、政治的な人々を動揺階層、そして気に入らない人物を敵対的階層と言うふうに呼びまして、この敵対的階層という事になりますと事実上北部の貧しい山岳地帯に追放されるようになっております。
こういう敵対階層の中にどういう人々が入るのか?と言うことのリストが明らかにされております。
宗教の自由が認められておりますからどうなんだろうと見ておりますと、プロテスタントを信仰して儀式を行う者、これは敵対階層だとされております。
プロテスタントと言うのは慣行的な宗教だからそうなのかな?と思って横を見ておりますと、カトリックを信仰してその儀式を行う者も敵対階層だという事になっております。
そうか、キリスト教が西洋的なものだから駄目なのかな?と思ってその間を見ておりますと、仏教を信仰してその儀式を行う者、これは敵対階層だと書いてあります。
仏教も駄目なのか?
そうすると朝鮮は儒教の国だから許されるのは儒教だけなのか?と思いますと、儒教を信仰してその儀式を行う者をやはり敵対階層と言うふうに謳われているわけでございます。
結局これはその国の指導者を神として崇め、これを神格化し、これに当然従わない者全てを敵とする国家。
そういう国家であると言う事を意味いたします。
ここに何の平等があるでしょうか?
そしてひとつは徹底した監視体制の下にあります。
同時に北朝鮮の中に多くの強制収容所、そこに政治犯の強制収容所が作られている事が分かっております。
北朝鮮の人口は2000万人と言われておりますけども、その100人に一人に当たる20万人くらいの人がその強制収容所に入れられた経験を持つ。
収容されていると言われております。
こうした事実は北朝鮮から脱出してきた脱北者、あるいは亡命してきた元収容所の警備員の証言によって極めて詳細に語られております。
デビッド・ホークという、これは国連高等弁務官事務所にも勤めておったある著名な人権家でありますが、この方が25人の収容所体験者から詳細な証言を得まして、強制収容所での収容者に対する反人権的な取り扱いについて詳細なレポートを提出しております。
ここでは大変重い労働が課され、そして食べるに足りない食料しか渡されておりません。
このレポートの中に4人の元収容所経験者が、ヨドク(耀徳)と言う地域にある政治犯の強制収容所で体験した事が書かれております。
ここで収監者の処刑が行われておりますが、逃亡を企てたり食べ物を盗んで捕まった収容者の絞首刑や銃殺刑。
時にはそれよりも酷い形の公開処刑が行われた。
逃亡を企てた収監者の公開処刑では、その収監者は車の後ろに縛り付けられて、集められた収監者の前で死ぬまで引きずられる。
処刑後、他の収監者はその横を通り過ぎながら、血まみれの体に障るように要求される。
この惨状を見て叫んだ収監者は直ちに銃殺された。
このような証言が書かれております。
8人の女性の収監者からは、収容所の中での人口を増やさないために、妊娠した女性は強制堕胎させられている。
生まれた子供が次々殺されている実態が報告されております。
こうした人を人とも思わないような反人権的な国家の政策と拉致事件、私たちの直面している拉致事件とは本当に一体の物でございます。
その意味で北朝鮮の中に起きている反人権的なそれによる被害を受けている人々。
これも拉致被害者とともに北朝鮮政府による反人権的政策に苦しんでいる人々がありまして、この問題は決して北朝鮮国内の問題ではなく、拉致問題と一体になった私たち日本人の問題であり、日本国の問題であり、国際社会の問題であるというふうに考えなければならないと思います。
拉致被害者は今日本で認定されておりますのは11件16人という事になっております。
これは金正日は拉致の犯罪を認めて、その後日本で北朝鮮拉致被害者の支援法が作られ、それによってそれによって拉致被害者と認定された人々です。
しかし実際にはかなり多くの人々が拉致されていると言うふうに考えます。
先ほど名前が呼び上げられ拉致の経過が報告されておりましたけど、特定失踪者問題調査会と言う団体がありまして、この団体にやはり自分の身内も全く理由の分からないまま、失踪している。
北朝鮮による拉致ではないか?と言う事で申し込みが殺到しております。
現在460名がこうした可能性がある特定失踪者という事になっております。
そのうち34名については北朝鮮の中で目撃した人がいるなど、拉致被害者である可能性が高いとされている人であります。
私どもはそうした拉致被害者の中で、なぜある人々だけが認定され他の人々は認定されないのか?ということも問題にしております。
もっと拉致被害者の根は深い、幅は広い、いうふうに考えているわけでございます。
その全体像は北朝鮮の反人権的な国家政策が変わらない以上、全貌は分からないのであります。
しかしその範囲も一つ一つの努力を詰めて、真相を明らかにしていく事を行なわなければなりません。
私たちは35人の中の一人、千葉に市原に住んでおられて73年の七夕の日に突然失踪された古川了子さんと言う方の拉致被害者認定を求める裁判を現在進めております。
東京地裁の民事二部と言うところで進めております。
この裁判では実のお姉さんから委任を受けておりますが、この裁判でようやく証人尋問が開かれる事になりました。
6月の28日、特定失踪者問題調査会の代表である荒木和博さんが証人に立ってくださる。
裁判所もこれを1時間証言を聞く、言う事になりました。
私たちは一つ一つの努力を積み重ねて、私たちに出来る事を一つずつやっていきたいと考えております。
もちろん何を持って拉致問題を解決するか?という事は難しい問題であります。
拉致された人々の全員を救出、これはもちろんの事でありますけども、この拉致を行った国家機関に対して適切な制裁・処罰が私はなされなければならないと言うふうに思います。
最近ベルギーのブリュッセルと言うところで行われました、アメリカの人権団体「フリーダム・ハウス」と言う所が主催した北朝鮮の難民問題・人権問題の解決を目指す国際集会が、金正日を国際法廷で裁こうではないか?と言う提案がなされているそうであります。
もちろん国際法廷で裁くために、日本がオランダにある国際刑事裁判所に提訴すれば一番良いわけですが、これには壁があります。
日本自体が国際刑事裁判所の条約をまだ批准していないと言うことがあるんです。
将来はこうした拉致犯罪を犯した所の処罰を含めた運動が進められなければなりませんが、そうした所にも私たちは被害者の救済を含めて出来る限りの努力をしていかなければならないと思っております。
少なくとも今のような拉致問題を解決する姿勢を全く示さない、あの国。
そしてその背後に先ほど述べた様な、大変凶悪な人道犯罪・人権犯罪を犯し続けている北に対して、私の個人的な考えでありますけど、やはり何らかの制裁はなされなければならないだろうと思っております。
その一つの選択肢として経済制裁も考えて然るべきだろう、いうふうに思います。
経済制裁によって人権問題が解決された例としては南アフリカのケースがあります。
南アフリカではアパルトヘイトと言われまして黒人たちが住むところも別々にされて差別をされている。
そういう隔離政策と言うものが行われております。
これはまさに敵対階層を北部の山岳地方に収容している北の政策と共通する物があります。
この南アフリカに対して国際社会は経済制裁に踏み切ります。
経済制裁を行う事はかえって南アフリカの貧しい人々にとって苦しめる事になるのではないか?
こういう議論がありましたけれども、そのときに南アフリカのアパルトヘイトと戦っている黒人指導者はこのように言いました。
「南アフリカに対する経済制裁はアフリカ人に苦しみを与えるかもしれない。
だがその方法が我々の願っている、我々の被っている血みどろの苦しみを短縮する物である。
この苦しみを短縮する物であるなら我々はその犠牲を喜んで払うだろう。」
こうした黒人指導者たちの断固たる戦いがあって、国際社会の経済制裁の効果を奏し、その結果94年にアパルトヘイトに終止符が打たれ、ネルソン・マンデラ大統領の新しい政策、黒人による大統領が生まれたわけです。
私は経済制裁による人権問題の解決と言う事は大いにある選択肢である、と言うふうに考えております。
そして全ての拉致被害者が救出される事に、その思想が廃止され、そしてこうした人権犯罪を犯した人・国家機関が徹底的に処罰される日まで、粘り強くこの問題と寄り添って行きたい、言うふうに思います。
是非、皆さん一緒に戦いましょう。(拍手)
このテキストは話しの花束ぴろんさんの労作です。
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