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2006年5月14日 (日)

六団体による 北朝鮮に関する人権法案に対する要望書

(要請書の全文)

        北朝鮮に関する人権法案に対する要望

 北朝鮮では多数の人々がはなはだしく人権を蹂躙されているばかりか、日本、韓国、レバノン、タイ、中国をはじめとする12カ国にも及ぶ人々が拉致されるなど、金正日政権による人権侵害は、世界で最悪のもとなっている。

 一昨年、米国では北朝鮮人権法が制定され、昨年はブッシュ大統領が脱北者姜哲煥氏と面会し、北朝鮮の収容所の実態と脱北者救出の要請を受け、12月には国連総会本会議で北朝鮮の人権侵害に対する批判決議が採択された。今年4月にはブッシュ大統領が横田早紀江さんなど拉致被害者家族と脱北者に面会し、拉致問題へも強い関心を表明した。また、米国のレフコウィッツ北朝鮮人権担当特使は、中国が脱北者を「不法入国者」として強制送還していることを「深刻な人権侵害」と批判し、脱北者を「難民」として実際に受け入れることを表明した。韓国においても、金英男さんのDNA鑑定を契機に拉致被害が再認識されつつあり、金正日政権の人権侵害に対する国際的な批判が高まっている。

 北朝鮮に大勢の人を拉致された私たちは、拉致がわが国民に対してなされた許しがたい人権侵害であると同時に、国民生活の安全を脅かすわが国への重大な主権侵害であることを自覚しなければならない。さらに私たちは、帰還事業で北朝鮮に渡っていった在日朝鮮人とその日本人配偶者の迫害など、北朝鮮の特異な独裁体制に起因する深刻な人権問題を抱えていることを忘れてはならない。

 近年、生活苦と迫害によって北朝鮮を脱出した人々が救助を求め、すでに8000人近い人が韓国に入国し、日本にも100人ほどが入国していると思われる。今後、金正日政権の政権維持能力によっては、政権の崩壊も予想される。そのような場合、一時的に大量の難民の発生も想定されるが、そのような事態の発生にも万全の体制を整え、一定の難民の保護を引き受ける覚悟をもって事に当たらねばならない。

 何よりも大切なことは、東アジアで拉致、誘拐、難民への虐待、強制収容所などの人権侵害を起こさせない国際関係を作りあげることが、東アジアの平和と民主主義と発展の基礎になるという認識を持つことである。

 私たちは、このような時に自由民主党と民主党からそれぞれ「北朝鮮人権法案」が国会に提出されたことを心から歓迎すると同時に、直接これらの課題に取り組んでいる者として下記の要望を提出し、必要かつ十分な、実効ある一つの最終案が形成されることを強く要望する次第である。

 具体的には、問題解決のこれ以上の引き延ばしを許さず、(1)金正日政権の国家犯罪に対する制裁を時期を失せず課することができるよう明記すること、(2)北朝鮮に拉致された疑いがある人たちの調査を積極的に行い、拉致認定の業務を迅速に行うこと、(3)日本に関係する北朝鮮難民(脱北者)を速やかに保護すること、(4)日本に戻った拉致被害者と脱北者について、心身の健康回復と新しい環境におけるメンタルケアに充分配慮し、社会生活の再建、自立を支援すること、(5)人道的立場から北朝鮮難民の保護に、国際的な連携を図りつつ、日本政府が積極的な役割を果たすこと、以上の5点を北朝鮮人権法の中に盛り込み、実施していくことを強く求める。
          2006年5月12日

特定失踪者問題調査会 代表 荒木和博
北朝鮮難民救援基金 事務局長 加藤 博
北朝鮮による拉致と人権問題にとりくむ法律家の会  代表 木村晋介・藤野義昭
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 代表 山田文明
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 佐藤勝巳
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 会長 横田 滋
(順不同)

調査会ニュースより

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