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2006年5月 2日 (火)

家族会訪米後、荒木氏【雑感】

調査会ニュースより

~家族会訪米後~

■雑感
                   荒木和博

 横田早紀江さんの米議会証言、ブッシュ大統領との会見などは連日大きく報道され、日本でもあらためて拉致問題への関心を高めることができました。家族会・救う会の皆さんのご尽力に心から経緯を表する次第です。横田早紀江さんも団長を務められた飯塚繁雄・家族会副代表もハードなスケジュールだったと思いますが、帰国後はできるだけ無理をしないで、少しでも休息をとってもらうよう切に願う次第です。

 今回の一連のイベントでは、22日の集会に大澤孝司さんのお兄さんである昭一さんご夫妻、山本美保さんの妹さんである森本美砂さんも参加されました。特定失踪者ご家族への政府の対応は、家族会の発足した頃と同様の状況であり、その点では現在の家族会とは差がつけられていると言わざるをえません。

 だからこそ古川了子さんの拉致認定を求める訴訟も行っているのですが、私たちとしては個別の対応もさることながら、「北朝鮮にいる拉致被害者は全員探し出し連れ帰る」という、基本に立ち返って対応してもらいたいと思います。その線が守られていれば、個別の対応が多少雑であろうと、私たちもご家族も、おそらく大部分の人は文句を言わないでしょう。「どこに、誰がいるのか調べ、どうやって助けるのかを考え、実現する」という、国家として極く当たり前のことをやってこなかったのだということはしっかりと認識してもらいたいものです。

 ところで、今回、一つ日本の報道で気になったことがあります。

 それはブッシュ大統領との会見のことなのですが、日本の報道を見ていると、多くの人は何となく横田早紀江さん、拓也さんと大統領が単独会見をしたように感じられたのではないでしょうか。しかし、実際にはこのとき、瀋陽総領事館駆込み事件のハンミちゃん一家や自由北韓放送の金ソンミン代表、さらに北朝鮮の収容所をテーマにしたミュージカル「耀徳ストーリー」の監督であり自らも脱北者の鄭成山氏が同席したとのことで、このときのブッシュ大統領のメッセージは包括的な北朝鮮人権問題への姿勢を表したもので、個別の拉致問題だけについてのメッセージではありません。

 従って、これから重要なのは今回のことをいかに有効に使っていくかです。その意味では団長である飯塚繁雄・家族会副代表の帰国会見での「今回は一つの通過点。肝心なのはこれをステップに、具体的にどう動くかだ」と言葉に尽きていると思います。米国は慈善事業で拉致問題への関心を示しているのではなく、自国の国益にのっとってやっているのだという前提で、今回の成果をどう活かしていくかであろうと思います。知人の言葉で、「かつて『日米安保で日本はアメリカの戦争に巻き込まれる』と言われたが、この問題は、『日本の戦争にアメリカを巻き込む』のだ」というのがありますが、そのつもりでやっていく必要があるでしょう。

 それにしても、今回代表団は国防総省や国家安全保障会議を訪問しましたが、日本で家族会の方が防衛庁を訪問したことはありません。自衛隊が拉致問題解決のために動くということが、少なくとも最近まで「想定外」だったからですが、防衛庁・自衛隊の皆さん(私も片足の親指の先位は自衛隊員なので、天に唾するようなものかも知れません)は、この現状を少しは恥ずかしいと思ってもらいたいものです。

 また、帰国後安倍官房長官への報告のとき、安倍長官は「政治家が会うより、みなさんが直接訴えた方が何倍も力がある」と横田早紀江さんらに伝えていますが、本来なら、ご家族が米国まで行かなければならない現状をお詫びすべきではないでしょうか。もっとも、安倍長官はかつて、「政治家として解決できていないことをお詫びしたい」との趣旨の話をしていますので、たまたま一部が報道されただけかも知れませんが。

 いずれにしても、今回様々な形で関わった皆さんに重ねて敬意を表するとともに、私たちもこれを期に、結局拉致問題は日本が先頭に立って動かねばならないという現実に立ち返って頑張っていかなければならないと、思いを新たにした次第です。

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