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2006年6月11日 (日)

白眞勲さん講演(2006/4/15)

4月中旬、都内で行われた集会での白眞勲さんの講演をテキストにしました。
概略のテキスト化に当たっては、白眞勲先生から、ご許可を頂きました。
今回の金英男さん家族面会の状況、韓国内の状況、朝鮮日報の論調などについても理解する材料になるのではと思います。参考に。

白眞勲先生のご意見に納得する部分、もう少しつっこんでお聞きしたい部分もありましたが、そこまではお聞きできませんでした。

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  ◆白眞勲さんの講演
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ご紹介いただきました白眞勲です。
拉致の救出関係については30分と区切らせていただいて話しさせていただきます。
ご存じのように私は朝鮮日報という、韓国の新聞社の日本の支社長をずっとしておりまして一昨年7月に参議院に当選をさせていただいた一期生でございます。

当然私、実は比例区、昔の全国区ですので何処かの県民のためとか選挙区のために仕事をするのではなくて、すなわち日本国全員、国益のため(もちろん国会議員というのは皆そうなんですけれど)特に私の場合は何処と言うことありませんので、地域の利益代表というよりは、日本国の利益の代表としてという観点からですね、仕事をしていきたいと思いまして、立候補させていただいて当選をさせていただいたわけでございます。

そのためには、良く批判されるんですよ。おまえ韓国人だったから、(まぁ、今日本人ですけれども)韓国の利益を考えて日本の国政をやってるんではないかと。そんなことありません。韓国の国益=日本の国益にあり、日本がとなりの国と仲良くすることが日本の国益になる、これは当たり前のことなんですね。それも、『日本だ、韓国だ』とか言ってるような、僕は、時代ではないんじゃないかなというつもりでして、そう言う観点から、日本の国会議員になる以上、この国の利益と言うのは考えるわけで、それは世界平和であり、平和な、みんなが仲良く暮らしていけることが、一番、私は、みなさんの利益に繋がっていくんではないかと観点から今仕事をしている訳なんですね。

そう言う観点からすると、どうしてもこの北朝鮮の拉致問題というのは、解決すべき問題という認識を持っていますし、又北朝鮮に対して、これはみなさん区別していかなければいけないと私が思っているのは、『北朝鮮けしからん』ではなくて、『金正日けしからん』なんですよ。

北朝鮮の一般の大衆というのは、猛烈に金正日によってきわめて厳しい迫害を受けているわけですね。やはりこれは、助けてあげなければいけないと私は思っているわけです。ですからその辺も、私達は分けて、北朝鮮の金正日体制に対して厳しい見方をしていくというのがわたしの考え方であるというのをご理解頂きたいと思います。

今の現象について国政の立場からご説明するのが一番良いだろうというふうに思います。
私は国会議員として外交防衛委員会に属しております。それでですね、今回めぐみさんのお嬢さんのキム・ヘギョンさんのお父さんが韓国で拉致された金英男さんであるということがはっきりしたわけです。今まで韓国の対応というのを見て頂くと、金大中さんからですね。北朝鮮に対しては、宥和政策を取っていました。太陽政策、それはみなさんよくご存じの政策です。太陽政策はどういう政策かといいますと、いわゆる北朝鮮と、南北が統一すると、きわめて南が負担が大きくなるのではないだろうかと。これは当たり前のことだと思うんですね。

特にですね、韓国が北朝鮮に対する宥和政策に転換したのは、私は<東西ドイツの統合>、これが一つの契機になったんじゃないかと。東西のあのドイツが統合したら、あの西ドイツがひどい目に遭っていると。これは統一するのは大変だねと言うことがわかってしまったということだと思います。

イギリスの調査機関によりますと、統一にかかる経費が一兆ドルぐらいかかるんではないかというんですね。一兆ドルです。120兆円ぐらいですか今のお金でいうと。とんでもないお金ですね、日本円でいうと。韓国の国家予算10兆円ぐらいですからもし、(これは一つの概算ですが)南北が統一したら、南の韓国まで、へたするとおかしくなっちょうんではないかというわけです。

じゃぁ、どうすればいいのかと。つまり北朝鮮の経済というものを底上げしていくことによって、南北の格差を減らして、それから統一に少しずつ、徐々に持っていくのがいいんじゃないかというのが、金大中さんの考え方だったと思うんですよ。ですから南から北に経済援助みたいな形で、どんどん援助を始めたということなんですね。

私は、それには反対だったわけです。(援助は)金正日体制では、体制維持に使われるだけであって、北朝鮮の一般大衆に対しては役に立たないんじゃないだろうかという意見なんですけれども。

いずれにしても韓国民は金大中さんを直接投票で選んだわけですから、その金大中さんがそう言う形でみなさんご存じのいわゆる太陽政策というのをやったんです。これは太陽政策ということばどおり、イソップ物語の、『北風と太陽』からきてるわけですね。

北風と太陽というのは、イソップ物語で、あれは北風と太陽が喧嘩しているわけでしょう。当然これは、旅人は知らないんですよ。北風と太陽が喧嘩していることをですね。知っていたら<マントを脱ぐ、脱がない>にならないでしょう。言わないでおいて喧嘩するから、太陽が熱いからと言ってマント脱いだわけでしょう。

金大中さんが、『太陽政策、太陽政策』と言ったら、これ、北風と太陽で、(旅人=北朝鮮が)マント脱ぎますかってことになるんですよ。言ってることあってるでしょう?言わないでやるなら良いんですよ。言っちゃったら、『北風と太陽』、太陽政策(が勝つこと)にならないの!黙ってやるべきだったの。

黙ってやるべき。ところがこういうことをやっている。当然金大中大統領5年間の経済はどうだったかと。格差はもっと開いてしまったんです。北朝鮮の経済というのは全く低迷したままだったということが今、はっきりしているんです。ですから、この太陽政策というのは、金大中政権5年間で完全に失敗しているんですから、当然盧武鉉さんは、それに対して転換していかなければならないわけなんですけれど、相変わらず北朝鮮に対する宥和政策をとっている事対して、私は韓国に対しても批判的なんです。

これは、新聞社の時代にテレビによく出たときに(韓国の政策批判を)言っていたら、韓国の新聞社からも“売国奴”とかなんとか私のことを指して言うわけで、大使館からもなんだかんだと言われたんですけれども。あれって不思議なもので、“出る杭は打たれる”っていうじゃないですか。でも、出過ぎると打たれなくなるんですね、これ、杭っていうのは。引っ込まなくなるから。そう言うことで、出過ぎてしまったら何にも言われなくなっちゃったね、ということがあって。

私は考え方としてはっきり信念を持っています。この方が正しいと思っています。やはり、金正日さんを何とかしなない限り北朝鮮は良くならない、これははっきりしていると思います。『金正日さんを殺せ』と非難とか言ってるのではなく、ともかく反省して下野するというか、政権から降りて頂くのが北朝鮮にとって一番いい。これが拉致問題解決への一番の早道であるというふうに私は思っております。

じゃぁ、北朝鮮の今の状況というのは、一つ言えるのは、北朝鮮というのは、100万人の兵力を持っている強大な軍事国家であるの事はおわかり頂けると思います。2000万の人口で100万人の兵隊を持っているんですよ。こんな国ないんですよ。中国でさえ300万人、12億いるんでしょう?12億に300万人、日本の自衛隊が26万人ですよ。南の韓国で(人口が)4,000万人。4,000万人で(兵力が)60万人ですよ。北朝鮮は2,000万人で100万人という兵力。

みなさん頭の中で20人にひとりだと思っているでしょう。“違う”っていうの、それ。何故かわかる?女性が半分でしょう。だから男は1,000万人しかいない。男1,000万人と言ったって、老人から子供まで赤ちゃんだっているんだから。

  つまり100万人というのは、生きのいい男はみんな兵隊だって事ですよ。

ということは、どういう事かっていうと、簡単な話、生産活動ができないと言うことなんです。軍人というのは生産活動しないんです。基本的に鉄砲を持ってヘルメットかぶって、野原を駆け回っているってことですよ。軍事費といったら、これは一般のこの辺の渋谷なんかのの若者でじっと座っている子供達に比べて、お金使うんですとあの子達は。兵隊というのはお金がかかる。

戦車、リッター400mですよ、燃費が。ヘルメットから食べ物まで、みんな食べ物まで国が負担しなければならないんです。この軍事費というのは、(日本の自衛隊も同じなんですが)ものすごく費用がかかるんですね。それから新しいものにどんどん装備を変えていかなければならないでしょう、装備も。戦車なんて中古で売れませんからね。みなさんも中古車センターで戦車売ってるのをなんて見たことないでしょう。

だから結局そう言う観点からすると、北朝鮮は軍事国家であるから故に破綻しているんですよ。簡単な話なんですね。そういうことをまず念頭に置けば、まずはあの北朝鮮を変えるべきであるというのは言えることだと思います。それははっきりしている。

それで今アメリカを中心として制裁が始まっているわけですね。実質的には制裁が始まっていると思う。それは何故か?金正日さんの財布の根っこを締めてしまう。つまりマカオにある銀行口座を止めてしまう。凍結してしまった。これは非情に効果あると思っています。

金正日さんが1月だったかに、中国を訪問してますね。急に何で中国を訪問したかというと、私はたぶんあのマカオの口座を何とか中国に頼んで、『何とかしてよ』と言いに行ったんじゃないかと、私は思っているんです。

中国側はあれはどうにもならないらしいですね。あれはアメリカが決済しているから。つまり貿易をするときには、アメリカの銀行を通じて決済するから、あれはアメリカの国内法。そう言う形でピタッと止めちゃえば、チェイスとかああいう銀行が止めれば、世界中どこに銀行があろうと、アメリカで決済しちゃうわけですから、ダメなんです、これ。
そう言う形で、止めてしまっているというのは、これは私は非常に良い形だなと思っているんです。

あとは新潟の万景峰号、これは止めるべきだと私は思っています。私は国会で、必ずと言っていいほど外交防衛委員会でこのことを言っています。ここには麻生外務大臣とか必ず来ますから。必ず、万景峰号を止めろと言うことを言っています。

何故私が万景峰号を止めろと言っているかというと、4月15日は金日成の誕生日でしたね。そう言う日に金正日は贈り物をしているんですよ。おくりものというのは食い物が多いですね。その食い物をどこから運んでいるかというと、日本からですね。万景峰号で運んでいるんですよ、だから、4月11日に万景峰号が入ったんですよ。食材を入れているんですよ。高級ワイン、メロン、霜降り和牛、そういうものをあの船に乗っけて運んでいるわけですよ。

霜降り和牛なんて、今口に出して言っているけど、なかなか私の口に入ってこない。私はそう言うものを止めるべきだと思うんです。経済制裁をすると一番困るのは、北朝鮮の困っている人たちなんですね。94年に300万人、餓死したと言われている。あの2,000万人の人口で、300万人餓死しているというのに、金正日政権は残っているんです。だから、(直接)経済を締め付けても困るのはかわいそうな子供達なんです。それが本当に良いんだろうかと言うことを考えたら、一番良い方法は金正日を困らせることなんです。

金正日に持っていく食い物を、肉を固くしてしまわなければダメだと言うことなんです。彼はいいんですよ、霜降り和牛を食べなくたっていいんですよ、十分にお腹ぽこぽこでているんだから。少しはダイエットさせればいい。そう言う観点から見れば私は万景峰号を止めるべきだと、これは非常に象徴的な意味があると思っているんです。それに伴う関連の法律ができているんだから、さっさとやるべきだというのがわたしの考え方なんですね。

それと同時に、韓国で金英男さんの問題がありますが、みなさん『何で、韓国では拉致の被害者468名、政府で認定されているにもかかわらず、これがなかなか進展しないのか』とおっしゃいますが、これは先ほど申し上げた太陽政策、宥和政策をとっているから、北朝鮮を余り刺激したくないからと言うのがあります。もう一つあるのは、韓国と北朝鮮との間には離散家族が約一千万人いる。それから朝鮮戦争当時の捕虜が何十万とかいるんですよ。そうすると、政府としての優先順位は、離散家族一千万人になってしまう、と言う部分もあるのではないかと、私は思っています。

ですから、自分の両親というのは、一分の一ですよね、一人しかいないんだから。あるいは自分の肉親だって一分の一、しかし、これを政府として考えると、一千万人か、468人かと言うことになってしまう。ということになると、どうしても一千万人のほうに力を入れざるを得なくなるというのが政府としてあるんではないかと思います。

朝鮮日報も(本当に北朝鮮に対してはいつも厳しい論調をはっているんですが)今回は本当に一面トップに出しましたし、(私の出身である朝鮮日報も)今回は韓国に対しても『何をやっているんだ』と『日本政府によって韓国人の拉致がはっきりしたじゃないか』と、『今まで何をやっていたんだ』と、相当厳しい論調になってきている。

金英男さんのお母さんに対しても本当にかわいそうだなという感じがする。人間というのは、日本人も韓国人も同じなんですよ。両親、肉親を奪われた苦しみ、肉親がいないという悲しさは、お母さんとして、これは当たり前なんですよね。

肉親がいない悲しさ、こういう気持ちが、これから韓国政府というものをどう動かしていくかということが私は一つの試金石になっていくんではないかと思って、(今回のことを)一歩前進、二歩前進と思っています。

麻生外務大臣は、外交防衛委員会でこの拉致問題について私が聞いたとき、『これからは韓国と強く連携していく』と言いました。
≪強く≫と言う言葉を言いました。ですからだいぶ変わってくるんじゃないかと思います。今の日本政府の態度も少し(強く)と言う方向に舵を取り始めているというのはみなさんも感じていると思いますし私もそう思っています。

今度は、拉致の特命で鈴木政二さんという議員さんが特命の隊長として頑張っていますので私はそれに期待したいなと思っています。

私もめぐみさんのご両親さまにはお世話になっておりまして、先日も外交防衛委員会わざわざ傍聴に来てくださいまして、やはりお二人が来ると大臣も違うんです。やはりしゃべり方も違うんです、いるだけで。大臣も、気持ちの問題ですよ。

そう言う中でこれからも拉致問題については注目して行きたいと思っています。

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