拉致被害者に嘘の証言をさせる北朝鮮
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2006.06.30)より
6月29日、北朝鮮・金剛山で、金英男さんが母の崔桂月さん、姉の金英子さんとともに会見し、拉致ではなく北朝鮮に「救出された」、「めぐみさんは死亡した」などと証言した。また、横田めぐみさんへの愛情や、横田夫妻への配慮はまったく見られなかった。北朝鮮に拉致された被害者自身が、拉致の事実まで否定して嘘の証言をせざるを得ないという残酷かつ許しがたい茶番劇となった。家族会・救う会では、まず会見の映像(日本語に通訳されたもの)を見て、その上で会見に臨んだ。以下に、金英男さんの会見に関する家族会・救う会の会見の概要をお伝えしたい。
なお、今回の会見では、韓国側のみの取材が許可された。また、予め質問事項を提出させこれに金英男さんが答えるという形をとった。さらに、南北の「離散家族」面会事業は戦争中の離散家族が対象で、両国赤十字社が主催するものであるが、北朝鮮赤十字社が党の支配化にあることは言うまでもない。会見場には北朝鮮当局者多数がおり、金英男さんの一挙手一動を監視していた。金英男さんの会見内容は各紙に詳しいのでそれぞれご参照いただきたい。今回の会見内容は、一見、北朝鮮当局が練りに練った文案のように思えるが、実際はミスがボロボロという代物である。それについては、家族会、安明進氏も招き、7月20日(木)午後6時半から東京連続集会(友愛会館)で検証したい。
参加者は、家族会=横田滋・早紀江代表夫妻、増元照明事務局長、救う会=佐藤勝巳会長、西岡力常任副会長、島田洋一副会長、平田隆太郎事務局長、山岸丈良事務局次長。
■拉致被害者に嘘の証言をさせる北朝鮮
横田 滋 我々は、2002年にも死亡宣告されている。後は解決済みと言っている。今回、目新しいことはなかった。ヘギョンさんを日本に行かせるつもりはないと神経質に言った。引き取るのは難しいかもしれないが、来れればぜひ受け入れたい。今の話ではこれまでの繰り返しだ。生存を前提に政府に引き続き交渉をお願いし、何もなければ制裁を実施してもらいたい。
横田早紀江 予想していたとおりの答弁。めぐみが鬱病というのは安明進さんの本にも、若い時に入院したとある。拉致問題は残酷そのものだ。13歳で拉致され、一人にさせられれば、誰だって鬱病になって当たり前だと思ってきた。めぐみは、小さいときに大きなけがをしたことがない。小さいとき、階段へ落ちたことはあったが、異常はなかった。偽の骨は鑑定がはっきりしている。拉致被害者は隠れた場所で、今でも有効に使われていると思うので、(死亡は)信じていない。
横田 滋 自分の心とは別に、北朝鮮の指令で話していると思う。
横田早紀江 昨日のテレビでも、監視の人がうろうろしており、英男さんの行動を注視していた。圧力がかかっての行動だ。
横田 滋 2004年の小泉訪朝で、死亡とされた人の再調査が約束され、偽の遺骨が出てきた。これは誠意ある対応とは思えない。北朝鮮人権法が成立したが、拉致は究極の人権侵害だから、是非誠意ある対応がなければ制裁を発動して拉致問題を解決してほしい。
横田早紀江 頭がにえくりかえるような、腹がにえくりかえるような思いを長い間してきた。このようなことを平然とやる国がある。小さい子どもを拉致して自分の国のために使うようなことはあってはならない。世界に信頼される国になりたいなら即座に返すのが当たり前。こんな茶番劇を断片的に注目させる国があることが段々明らかになっている。世界中に知られ、出てくるといいと思う。
横田早紀江 金英男さんは工作員としてかなり鍛えられた人との印象を受けた。
増元 想定内の話で驚いていない。(会見には出なかったため)ヘギョンさんに芝居をさせなくてよかった。人権という言葉を使ったが、しらけるような言葉だった。ジェンキンズさんも、小泉首相の説得を受けても本心がいえなかったことを忘れないで下さい。
西岡 死亡について、「後に機会があれば」と逃げた。この手紙には93年死亡とあるが、北朝鮮は当初93年と言い、後に94年に訂正した。これについての弁解の準備ができていなかったのだろう。韓国メディアからの質問に「拉致」の言葉が出ていない。また、(今見た映像は)一問一答なのに、一問の方はカットされるような会見しか北朝鮮ではできないということだ。今年、韓国のメディアが拉致と言ったので送信を止められたことがある。これで自由な会見と言えるか。
一方的な宣伝ではないか。
手紙の件も、93年の偽診断書についても答えないことに怒りを感じる。韓国にも特殊機関があるだろうと、特殊機関に誇りを感じるようなことを言っていたが、77年、78年に拉致された他の4人の高校生の家族はどう思っただろうか。
崔正男という工作員の先生を彼らがしていた。拉致が判明しているのに何も言わなかった。崔桂月さんと4人の家族を分断している。(今回の面会は)被害者全員を取り戻そうという目的ではない。金正日の拉致指令で韓国人化教育をしたと韓国政府が97年に発表している。このことを一切言わない会見が行われた。
増元 船に助けられてというのは寺越武志さんのケースとそっくりと思った。寺越昭男さんが常々言われる言葉だが、拉致されたのに感謝しなければならない立場に追い込まれてしまう。英男さんも辛いだろうと思った。拉致という厳しい現実があることを韓国の皆さんは忘れてしまっているのか。これで韓国国民は納得するのだろうかと思った。蓮池さんや地村さんを見ても、拉致されても洗脳はそれほど強くないと思う。めぐみさんが小さい時に事故に遭ったという、事実ではない話を新たに出してきたのは、めぐみさんに詳しく聞いたということではないか。そして、めぐみさんが「生きている」とメッセージを送ったのではないか。
西岡 寺越事件でも、昭二さんの墓に刻まれた生年月日が一日違う。外雄さんが調査を受け語った話だと思われるが、そこにもメッセージがこめられているような気がする。
横田 滋 韓国は北朝鮮に対し宥和政策をとっている。戦争をしたくないのは分かるが、拉致がなかったとするのは間違いだ。5月にハンナラ党の朴代表に会ったが、政府は国民の生命を守るのが当然と言っておられた。
佐藤 すべてが茶番劇だ。韓国は日本と違う方針で、援助したからいい場面ができたと日本にも見せる面があるのかもしれない。たった一人の指令する人、それに同調する人が北朝鮮にいる。世界が核でやられる恐怖に置かれるのも、原因はそこにある。いっしょになってメッセージを送る必要がある。アメリカは早くから金融制裁をかけている。日本も万景峰号を止めてもらうのがいい。
救う会ニュースより
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント