拉致問題:金英男さん会見=要旨
拉致問題:金英男さん会見=要旨
横田めぐみさんの夫とみられる金英男(キムヨンナム)さんが29日、韓国共同取材団と行った会見の要旨は次の通り。「ウンギョン」はヘギョンさんを指す。
【冒頭発言】
私と家族に対する内外の関心が高まり、良くない世論も飛び交っているのでインタビューすることになった。もともと離散家族再会では許されていないが、特例として許容した北側関係者に感謝する。
【北朝鮮での暮らし】
北に来てから党(朝鮮労働党)の胸に抱かれて幸福に生きてきた。大学も出て、重要な職責の仕事をしている。ウンギョンは金日成総合大学で勉強している。誰をうらやむこともない生活だ。仕事は特殊部門で(南北)統一部門関連の事業をしている。
【北朝鮮入りの経緯】
78年8月5日ごろ、海水浴場に男女の仲間で行った。男はテント、女は民宿だ。女友達に録音機を貸したが、乱暴な先輩2人が「使うから返してもらえ」と言う。自尊心が傷ついたが、先輩の暴力が怖くて悩んだ末に海辺に行って木製の小船に隠れた。そのうち眠ってしまい、気がついたときは大海原の上だった。船が近づいてきて助けられたが、もとの海岸に戻るのは大変なので自分たちの所に行こうと。それは北側の船で、着いたのは(北朝鮮の)南浦港だと後で分かった。
最初は眠れず、食欲もなかったが、北側の人々の親切と特別待遇を受け、気持ちが変わった。無料で大学に行けるというのも気に入った。ここで勉強してから南に行けばいいと考え、28年の歳月が流れた。
【めぐみさんについて】
私は特殊部署で、めぐみから日本語を習った。86年初めだ。しとやかそうな女性で、異性として親しくなり、その年8月に結婚した。その後3年は娘も生まれ幸せだったが、めぐみに病的症状が出始め、出産後の健康管理もうまくいかなくて悪化した。うつ病になり94年4月13日に病院で自殺した。これについていろいろ説があるが、別の機会があれば話す。
めぐみはうつ病による精神分裂症だとのことで、好転したとき自殺しようとするそうだ。そういうことが何度もあった。めぐみは幼いころ事故にあって脳に大きな損傷を受けたと話していた。
日本政府は私の言葉を信じようとしない。04年11月に平壌に来た日本代表団に具体的に説明し、遺骨も渡した。めぐみの両親に責任をもって渡し、公表しないと言ったのに、鑑定遊びをしたあげく偽物だという。私とめぐみに対する侮辱であり、耐え難い人権じゅうりんだ。
【ヘギョンさんについて】
本名はウンギョンで、ヘギョンは幼名だ。めぐみの問題に火がついて、思春期の衝撃も大きく、私生活が公開されては良くないと考えて、ヘギョンという名前を使った。
ウンギョンはめぐみと私の娘だ。(日本に返せという)要求は納得がいかない。日本当局のやり方を見れば行かせたくもないし、本人も行かないと言っている。
【韓国取材団への要請】
私の話を正確に報道してほしい。私が北に来たのは拉致でも自分から越境したのでもない。私と私の家庭の問題が不純な政治的目的に利用されるのを防いでほしい。私の問題はこれで幕を下ろしたい。【ソウル支局】
毎日新聞 より
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