東京連続集会20(2)
『西岡力 副会長のお話 その1』
西岡でございます。(拍手)
先週ですね。
3日間韓国に行って来まして、金英男さんの記者会見について韓国がどういう反応を示しているのか?という事を直接聞いて来ました。
また日韓の救出団体が対立している。
あるいは拉致問題で日韓が対立していると一部報道があったんですが、その辺についてもいろいろと話を聞いてきました。
先週の火曜日の10時にソウルで記者会見がありました。
産経新聞が報道をしていましたが、韓国には拉致被害者家族会が3つあるんですが、そのうち2つが会見を合同でしました。
崔祐英さんたちの家族会と、それから朝鮮戦争中の家族の李美一さんたちの家族会です。
私もそこに同席をしていました。
そこで二つの事が主張されたんですが、一点目は金英男さんの記者会見についての韓国の家族会の見解です。
真実が反映されていない会見である。
真実が反映されていない会見に対して韓国政府がこれは真実で無いと言っていない。
韓国政府の姿勢が大変問題である。
真実が反映しない会見が何回も繰り返されても拉致問題解決には繋がらない。
再会出来たこと事態については良かった事だと思うが、嘘を言わされているという事で拉致問題解決にとってはこれ以上の進展が見られなくなってしまった。
韓国政府がこれに対して何故反論しないのか?と。
金英男さんが可哀想だと。
韓国政府だけでも金英男さんが嘘を言わされているんだと言わなければ、彼が嘘を言わされているという事を分かってくれる人が世界中にいなくなってしまう。
韓国政府が言わないので私たちが会見をしました、と言うふうに言っていました。
そして二つめはですね。
実は今回の離散家族の再会の中に朝鮮戦争中の拉致被害者の名簿が当初入っていたんですね。
奥さんが朝鮮戦争中の家族会の会員で夫を待っていたんですが、夫と会えるというふうに北朝鮮側から通報が来たと。
ところが、そして会う準備をしていたら、出発の1週間前くらいになってこれは事務上のミスだったと。
同姓同名だけれども、男性がいたんだけれども、その男性の妻というのは申請した人間とは違うと。
いうふうに北朝鮮から通報が来たと。
いうことで、それに対して韓国政府が北朝鮮から行政上のミスだったと行って当事者の妻に繋いだだけだったので、朝鮮戦争中の被害者家族会は政府に抗議をして北朝鮮にもっと厳しく言えと。
北朝鮮は拉致被害者と気付いてなくて名簿に入れたのが、後で分かって拙いと思って中止したに違いないと。
もしもそうでないのならば、北朝鮮が言ってる通り朝鮮戦争中の拉致されたと言う人と同性同名の人が、離散家族にいるという事を証明しろと、言う記者会見だったわけです。
そしてもう一点目、韓国の大手のメディアは一切書いて無いんですが、左派のインターネットの新聞とそれから一部の左派系の国会議員の人がインターネットのニュースなどで、日本の救う会やそれを支える運動が極右反動勢力であって、それと連帯してはならないという事を言っていたんですが、それに対して韓国の二つの家族会は、今までも連帯して来たしこれからも連帯していきますと。
人道そして人権という観点では日本の運動と全く一致してやっていくことは出来ますと、いう話がありました。
まずその事をご報告しておきます。
そしてもうひとつですね。
韓国の当時の新聞を金英男さんが記者会見をしたときの新聞をちょっと調べてみまして、どういう見出しだったのか?
日本でも一部報道はされていますけども、これは記者会見の次の日の朝鮮日報です。
一番自由民主主義の立場に立っている一番部数が多い、韓国でも一番のクオリティペーパーですが、これはですね。
「金英男さん拉致では無い、嘘」と書いてあります。(笑い声)
かぎカッコつきで拉致ではないと書いてあって、その後嘘と書いてあります。
見出しで嘘と書いてある。
そしてその論説ではですね。
「北の企画ドラマ、母子対面」(笑い声)
企画ドラマ、これが朝鮮日報です。
同じ朝鮮日報でこれは解説ですけども、「北の工作員も拉致だと認めたのに・・・」(笑い声)
それで「北の政府は何故嘘を言っているのか?」と言って、解説記事が書いてあります。
そこには97年に安全企画部が金さんが拉致されたと確認した、と。
北は同じ時期に高校生5人を拉致した、と。
小さな船で寝ていたら、なんて納得できない、と。(笑い声)
63年に拉致された日本人も漂流して北に入ったと主張していた。
寺越事件まで紹介して解説を書いています。
それから韓国の、これも朝鮮日報ですけど、韓国の家族会のコメントとして「北の政治的なショーに過ぎない」と韓国の家族は言っている。
それからこれは東亜日報ですが、「海水浴場で拉致、南に侵入したスパイの陳述と違う」と。
それから東亜日報の社説は「28年ぶりの母子対面、涙の海を作ったのは北の拉致犯罪である」
責任は北朝鮮にある。
次は中央日報は専門家、「徹底した脚本に従った会見である」
脚本どおりの会見である。
それからですね、一番左派系の新聞でハンギョレ新聞と言うのが有るんですが、このハンギョレ新聞も一面でですね。
「金英男、拉致疑惑を否認」というふうに事実関係だけを書きまして、しかし中の記事では「突発入国、当事者の証言、他の証人が無いので真実が漂流」
真実が漂流している。(笑い声)
ボートが漂流しているんじゃない、真実が漂流している。
ハンギョレ新聞でも真実が漂流という見出しをつけたんです。
言う事でして、つまり北朝鮮は韓国の世論にめぐみさんはもう死んでいるんだと。
ところが日本の拉致運動いろんな政治的な動機を持っていて、意図的に北朝鮮を圧迫しているんだと印象付けようと今回の記者会見を企画したと思われるのですが、しかし韓国の左派新聞までが真実は漂流と言わざるを得ないくらい説得力を持たなかったと。
朝鮮日報は嘘と書いている。
一番左側のハンギョレ新聞も真実は漂流と書いている。
言う事で彼らの工作は失敗したと言えると思います。
北朝鮮の工作は、後で安明進さんに解説してもらった方が良いと思いますが、北朝鮮の工作が侮りがたいと思われるのは人間に対する工作をする。
人に対する工作は大変優れています。
ある特定の人間に対して接近してそういう人間を自分の側に(引き寄せるために)、弱みを握ったりあるいは喜ぶ物をやったり、それが情報だったり名誉だったりお金だったりいろんな事をしますけど、そういう事をやるのは上手いんです。
日本の自民党の政治家の人たちにそれをやられた人たちがたくさんいるという事は、自民党以外の政治家の人たちももちろんそうですが、ここで何回も議論してきたとおりですが。
実は金英男さんの家族と我々がソウルで会ったときには、北朝鮮に行きましょうなんて話は一言も出ませんでした。
ところが東京にいらっしゃった時には何回も横田さんに一緒に行きましょうと言った。
そしてその時に崔桂月さんは息子と孫に会いに行きましょうと言った。
その時点でまだ北朝鮮は金英男さん拉致を認めていなかった。
それなのにあの80歳のおばあさんが行けば息子に会えると横田さんに喋っている。
それは我々が5月にソウルに行って彼女たちが東京にいらっしゃるその間に、何かがあったんです。
韓国政府がその間にあの家族の所に話をして、会えるかもしれないという話をしたんです。
その事を実は金英子さんが日本のテレビの中で話している。
会えるかもしれないといわれて、国民大集会で経済制裁をしようと一緒にこぶしを振り上げたらば、拙いと。
いう事に、端的に言えばなったんだと思います。
北朝鮮が一番嫌っている(麻生)外務大臣と会ったら困ると。
安倍さんの事は会っても、私よく分かりませんが、突然キャンセルして外務大臣には会わなくなったと。
言う事ももちろん、家族会同士のいろんな争いも小さな物としてあるんですが、本筋とすると韓国政府がそういう事を言ったんです。
韓国政府がそういう事を言ったというのはどういうことか?というと、北朝鮮から会わせてやると通報が来たという事です。
北朝鮮と韓国政府を通して、韓国政府を通して崔桂月さんに話があったと。
あのおばあさんは会いたいんだと。
ならば会いたいということで会わせて、日韓の連帯を崩せば良いと。
そういう事は大変上手いんです。
そして記者会見をしたという事です。
後で安明進さんに聞きますけど、あそこで会見場を仕切っていたのは三号庁舎だと。
三号庁舎の人がですね。
さっき増元さんも言いましたけど、シナリオを書いたわけです。
めぐみが死んだという事を韓国人に納得させるような会見にしろという事だと思うんですが、それをお母さんたちを横に座らせて会見したと。
そこまではもう大成功ですよね?
韓国の記者たちも事前に刺激するような質問はするなといわれていて、会見をして何かを喋らせる事が優先ですからそのことのみ。
事前に質問を出して会見が出来たんです。
そして生放送で世界に発信できる。
夫にめぐみさんは死んだと言わせるって機会まで作ったんです。
そこまでは大したもんだったんです。
しかし失敗したのは何か?というと、つまり調子に乗りすぎたんですね。
上手くいっていて、そしてここまでは上手く行ったと。
韓国政府も味方にして、家族も味方にして出した。
しかし、世論というものが分からないんです。
韓国にも世論がある。
ところが分からないんです。
だから私が一番酷いと思ったのは、もちろん小さな船に乗ってって言ったところもおかしかったんですけども、その後着いた後にですね。
北朝鮮に着いた後、最初は緊張していたけど北朝鮮の人は優しくて、そして北朝鮮は大学教育が無料だと。
故郷に帰ってもうちは貧乏なので北朝鮮で教育を受けて行こうと思って残る事にして28年経ちましたと。(笑い声)
と言う事を、原稿があったわけです。
その原稿を母親の前で息子に読ませる。
お母さんを捨てました、と言う原稿を母親を横にして、28年ぶりに会えて泣いて喜んだ母親の前で読ませる。
言う事をやるわけですね。
つまりお母さんの愛情よりも、党の愛情の方が上だと言わなくちゃいけないわけです。
金正日の愛情の方が上だと言わなくてはいけない、と言う社会の常識を韓国の世論がどう思うか?と思えないんです。
家族を横においておけば家族がその記者会見に同席したんだから反論できない。
そこまでは良く考えているんです。
しかし、世論が分からない。
それは小泉訪朝の時もそうだったと思います。
平壌宣言までサインさせる所までは緻密にやられていましたよね?
しかし家族会が記者会見をして、普通の鉄工所のお父さんとか、銀行員を辞めたお父さんとか、市場でマグロ買ってる競のお兄さんとかが(笑い声)、日本では話をしたらば国民はそれを信じるんだという事が分からないんです。
総理がサインしている方が上なんです。
北朝鮮では。
トップがサインするんですから。
それが分からない。
今回も、つまり韓国の人たちはめぐみさんが死んだかどうか分からないわけです。
我々がめぐみさんが生きていると言う根拠について、韓国に宣伝出来ていません。
遺骨についてはネイチャーと言う雑誌が報道したと、韓国の新聞は大きく書いてるわけですね。
どちらか分からないという雰囲気です。
しかし、今回の会見が全く説得力を持たなかったのは、金英男さんが北朝鮮へ行くプロセスが全く、韓国の左派新聞でも真実は漂流と書かざるを得ないくらい説得力が無かった。
それで失敗をした。
そういうことです。
その会見を見て感じたことについて安明進さんが来ていますので、その話をしてもらって、ミサイルの話は私、後でしたいと思います。
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