東京連続集会22-(1)
核実験の暴挙・どうする救出運動 緊急集会(東京連続集会22)
06.10.19 友愛会館にて
※今回の集会はいつものようにお一人お一人順番に講演するのではなく、北朝鮮情勢についてフリートークで語り合う、という形で進行しました。
ですので、初めに登壇者のお名前をご紹介しておき、講演部分を全部で6分割にして紹介をします。
ただし、家族のコメント部分はいつものようにお一人ずつ紹介する形をとります。
テキストの紹介の仕方がいつもと少し違いますが混乱のありませぬよう、あらかじめご了承のほどよろしくお願い申し上げます。
◆講演部分の登壇者氏名
・恵谷治氏(ジャーナリスト)
・西岡力 救う会副会長
・安明進氏(元北朝鮮工作員)
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『北朝鮮情勢について その1 (話し手:恵谷治氏・西岡力氏)』
★恵谷治氏
どうもこんばんは。(「こんばんは」の声)
最大の関心事である核実験について、これはまずハッキリ言って失敗です。
別に誹謗中傷して言っているわけではなくて、根拠もある事で失敗して。
失敗した上に再実験があると言われていますが、その事も西岡さんが来たら詳しく話そうと思います。
私の個人的な感じでは再実験も難しいだろう。
それはですね、ご存知のように実験にはそれなりのコストがかかる。
もう、そういうコストも無いんじゃないか?と私は考えています。
ですから私の予想が外れて再実験があれば、まだ多少は金があるんだろう。
ですから今・・・(聞き取れず)をしますがともかくミサイル・テポドン2号の失敗に続いて、今回の核実験も失敗している。
当然もちろん開発責任者は・・・(聞き取れず)をしているでしょうし、逆に言えば姪yの回復でもう一度やりたいと思っているはずです。
しかし、もう本当にやる余力が無い。
逆に言えば、私は核実験が行われれば崩壊の秒読み段階に入ると解釈しますから、私は冗談抜きで秒読みに入ったと思っています。
まず核実験の前に、ミサイルの事を簡単に申し上げます。
7月5日に7発のミサイルが発射されましたが、ご存知のようにそのうちの1発はテポドン2号です。
それから残りの4発は、これはまだ様々な分析がありますが、私が把握している限りノドンが2発それからスカッドが2発、それからスカッドの改良型と思われるもの。
ある一定の地域に落ちたと、これはまぁ日本政府はそういうふうに発表していますが、ある一定の地域と言うのはですね。
数10キロの範囲、これも報道されています。
数10キロの範囲に命中したと言う言い方は間違っておりまして、着弾したと。
つまりミサイルはおそらく仮想ターゲットが決まっていてそこを狙って撃った結果が40~50キロの範囲だというふうに思われるわけで、という事はこれはもうミサイルの体を成していないと言いますか、命中精度その他話にならんと言う事です。
これが10キロ以内、あるいは数キロの範囲で着弾したとなれば、これは・・・・(聞き取れず)。
それでも近代戦には使えない物ですから、そのレベルにも達していないということはハッキリとしている。
しかしながら一方でそのテポドン2号を除く6発と言うのは、そのうちの1発は12時間遅れですが、きちんと発射しております。
命中精度その他は別としまして、ノドン、スカッドと言うのは車載型で、車に乗せて任意に移動してミサイルを立てて打ち上げる。
それがきちんと行われる。
と言う意味ではミサイル部隊と言うのは、いわば機能していると言う事がいえます。
一方でテポドン2号は爆発したとも言われていますし、ちょっとここは究明されてないんですが、いずれにしろ2段式のミサイルの2段目を分離する事が出来ずに着弾している。
その問題はですね。
存知のように98年、テポドン1号が発射された際、1段目と2段目がきちんと分離しました。
実は3段目に人工衛星を積んでおって、それが爆発して結果的に皆さんご存知のように人工衛星の投射というのは出来なくなったんですが、ご存知のように北朝鮮は未だに光明星1号が地球の周りを回っておると嘘八百を放送する。
人工衛星は失敗しましたが、1段目と2段目のブースターの切り離しは成功してます。
これはですね。
日本が最初に・・・(聞き取れず)をやったときは切り離しに5回も連続で失敗しています。
それを北朝鮮は一回で成功させています。
これは上手く行ったり行かなかったりという事がありますが、テポドン1号は成功してテポドン2号は失敗している。
僕はこう思います。
つまり私はですね、テポドン発射のいろんななぜあの時期にとかいろいろ言われますが、大きなバックグラウンドとしてはお分かりのように昨年9月からの金融制裁が始まって、アメリカに対する威嚇とまでは言いませんが力を示したいという中で、テポドン2号+6発のミサイルを発射しろと金正日が命令したと。
で、6発の方、つまりミサイル部隊は北朝鮮レベルでは上手く機能した成功したと、こういう事が言えると思います。
一方でテポドン2号と言うのは、核実験もそうですが、北朝鮮では第二自然科学院と言いますが、これは日本語的に言いますと国防科学院。
この機関で開発をしています。
つまり軍部隊の方はミサイルでは成功し、国防科学院の方がミサイルに続いて核実験も失敗したと言う事になります。
ここがポイントなんですよ。
この国防科学院と言うのはですね。
朝鮮労働党軍需工業部の直属の機関です。
あらゆる最優先で物資・資金最優先される。
そういう組織が行った実験が連続して失敗しています。
これはですね、偶然ではありません。
私が思うに、まず9月からの金融制裁。
それからご存知のように警視庁含めて国内で様々な家宅捜索を行って、そのターゲットは科協という、もちろん総連も含めてですがこの監視が非常に厳しい。
という事はどういう事か?と言いますと、まず外貨が動かせない。
プラスですね。
れは脱北者、ミサイル関連の人間から何回も聞いていますが、足らない部品の機番を書いて東京にFAXで送ればすぐに、万景峰号のみが初めて入港禁止になりましたが、各地に寄港している船が届けるんです。
ですからそれがそういう作業でいわば、開発が継続していた。
そのルートが断ち切られている。
これがミサイルの、テポドン2号の失敗および核実験の失敗につながっているというように私は考えます。
西岡さんが来られたので、これから二人で始めます。
★西岡力氏
大学の用事ですみません遅れましたが、今の話は大変重要なポイントがあるんですね。
まず二つの事を仰ったんですけど、一つ目からもう一度確認したいんですけど、つまり核実験は失敗だと。
ミサイル実験もアメリカまで届く弾道ミサイルテポドン2は失敗だと、と見てらっしゃるしそういう事でいいんですね?
★恵谷治氏
そうです。
★西岡力氏
アメリカをけん制するために、アメリカまで届くテポドン2を実験して失敗した。
そうだとするともう一回やらなきゃいけないんですよね?テポドン2を。
(失敗の)原因が分かればテポドン2をもう一回やらなくちゃいけない。
やってなかった。
で、今度は核実験をした。
核実験については恵谷さんが多分未熟爆発についてしてくださった?
★恵谷氏
いや、まだです。
★西岡力氏
じゃあ核実験がなぜ失敗だったのか?と言う理由について説明してください。
★恵谷治氏
多分ご存知のように北朝鮮には濃縮ウランがまだありませんから、原料はプルトニウムです。
プルトニウムと言う物の起爆方式と言うのはご存知のように爆縮と言いますが、いわゆる球体を中心点に向かって 均等圧縮を一瞬のうちにドンッとして、プルトニウムと言うものが圧縮されてそれで臨界に達します。
その時の、つまりトマトを潰すときに上手く、まぁこれは不可能なんですが、ちょっとずらすと中身がブチッと出ます。
こういう潰し方では拙いんです。
上手く、中身が全然出ないようにきれいに潰す。
★西岡力氏
つまり皮が、均等に圧力をかけているから皮が破れないでぷすっと潰れる。
★恵谷治氏
ええ、それを爆縮と言うんです。
★西岡氏
それを通常の火薬でやるんですね?
★恵谷治氏
プルトニウムがある。
カバーで包んで、それに火薬をつけます。
その火薬を、球体ですからサッカーボールを考えていただけば、サッカーボール(の皮)が四角がありますね。
これはアメリカ式なんですが、ソ連でもそうですが、32面体です。
その32ヶ所に起爆装置があって、それを100万分の1秒の範囲で正確に同時に爆発させて。
※(1)-2へ続く
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東京連続集会22(1)-2 投稿者:ぴろん 投稿日:11月13日(月)19時21分54秒 引用
※(1)-1より続く
★西岡力氏
100万分の1ですね、100万分の1。
★恵谷治氏
と言うのは中性子が飛び出す速さと同じ正確さで爆縮をかけないと出来ない。
ですからこの起爆装置の製造するのが非常に難しい、いう事はあります。
★西岡力氏
北朝鮮は起爆実験をかなりたくさんやっていますね?
★恵谷治氏
はい。
で、私はですね。
この今言ったらとんでもないように思われますが、これはいわば60年前の、つまり長崎に落っことしたのと同じやり方で作れば出来るわけで、北朝鮮は私はこの起爆装置は完成させていた、いると。
しかもそれは80年代の終わりには完成していたと私は考えています。
★西岡力氏
それは100万分の1で爆縮する技術を北朝鮮が持っていたと?
その根拠はなんですか?
★恵谷治氏
この32面体を同時に電気雷管で爆発させるんですが、これは家庭のビデオの同調装置ですとかね。
ディスコのブラックライトとか、ある光がありますね。
ああいう機器をそれに使えるんですね。
60年前には大変苦労した事がですね。
今は簡単に出来るようになっています。
★西岡力氏
それは日本から出ているんですか?
★恵谷治氏
ええ私は、証拠はありませんが、そういうものは秋葉原経由で北朝鮮に行っていると。
★西岡力氏
それを先ほど恵谷さんが言及された在日朝鮮人科学技術者協会ですね。
科協が関係しているんですか?
★恵谷治氏
もちろんです。
北朝鮮の科学技術と言うのは、もちろん科協がソフトの面、様々な資料、それからハードの面、機械・部品、これは日本で調達と言っても過言ではありません。
★西岡力氏
当然そういう協力があって、アメリカが60年前長崎で落とした程度の、しかし100万分の1秒で爆縮する技術は北朝鮮は持っていたと。
持っていたのに、何で失敗したんですか?
起爆実験も何回もやっているのに、それをもう一度。
★恵谷治氏
現在はもうしていませんが、核実験は北朝鮮では平安北道の寧辺(ヨンビョン)と言われています。
その寧辺で83年からこの起爆装置の開発が始まりました。
その地域の北部で結構な川原の砂地がありますが、そこで爆縮実験、つまり爆縮実験と言うのは100万分の1秒でドンッと行くか?と言うのを70回もやってその実験は終っています。
★西岡力氏
寧辺で70回やったんですね?
★恵谷治氏
はい。
完成していなければ当然まだ続くわけですから、しかし89年を最後にその起爆実験を終っている。
★西岡力氏
83年から89年まで70回、起爆実験をやったと?
★恵谷治氏
その通りです。
その実験の終わりと同時にですね。
旧ソ連、KGBがですね。
90年の2月に、北朝鮮では核起爆装置が完成したという文書を当時ソ連中央委員会に提出しています。
★西岡力氏
89年に実験が終って、90年2月にソ連の情報機関が完成したと言う文書を出した?
★恵谷治氏
はい。
★西岡力氏
整合性ありますね?
★恵谷治氏
ソ連の民主化以後、そういう文書が明らかになっています。
★西岡力氏
しかしその後も起爆実験をしている。
恵谷さんはそれを衛星写真で見つけたんじゃないですか?
★恵谷治氏
はい。
実は今寧辺での起爆実験は停止、終りましたが、実は97年からですね。
平安北道亀城(クソン)市、亀の城と書きますが、亀城市の龍徳洞(りゅうとくどう)、ヨンドクドンと言う場所でですね。
また起爆実験が始まって、これが97年から2002年まで5年間、これも70回起爆実験をしています。
★西岡力氏
つまり89年に終ったのが別の亀城と言う場所で再開されて、また70回やっている。
そのときは北朝鮮は94年のジュネーブ合意で核開発を凍結すると言っていた時期ですよね?
★恵谷治氏
そうです、そのとおり。
今言われたように94年に核開発を凍結すると言っていて、舌の根も乾かない97年に起爆実験を再開した。
その事を考えますと、80年代末に完成した起爆装置とは別の起爆装置、つまり90年に完成したと言われる起爆装置というのは言葉で言う爆弾用の大型の物だと思います。
ところがこれをミサイルに積むには小型化をする必要があります。
ですから私の推測では91年から始まった起爆実験と言うのはですね。
小型化を目指したものだと思います。
★西岡力氏
じゃ、それを70回やったとするとそれも出来ていると見ているんですか?
★恵谷治氏
私の判断では大型は90年のときに出来て、2002年の起爆実験は終ってますが、それはこれは出来ないと判断をして停止したんじゃないか?と私は判断しています。
★西岡力氏
今回の核実験の話に戻しますが、そうすると今回失敗したと恵谷さん仰ったんですけども、今回使われた起爆装置は恵谷さんの見立てでは80年代に作られた大型のものだったのか?
97年から実験していた小型のものだったのか?
どちらですか?
★恵谷治氏
私は80年代の末に完成した大型のものが今回の実験に使われた。
プラス今言いました2002年に中止になった小型化についてはですね。
とてもこれは出来ないということで、今回は使われていないと言うのが私の判断です。
★西岡力氏
私聞き手なんですけど、私若干違う説があるんですがそれは時間があれば後で申し上げますが、話を進めまして、そうするとまた疑問が出てくる。
89年に70回も実験をしていて完成していた、ソ連も完成していたと言う秘密文書まで出していた起爆装置がなぜ今回上手く働かなかったのか?
★恵谷治氏
はい、ですからそこで、つまり技術確保を先ほど言いましたように、ミサイルを2段式の場合は分離できる。
そういう技術確保が終っているにも拘らず、つまり70回も実験をしてこれで問題ないといったにも拘らず、つまり予行演習では上手く行ったのに本番では上手く行かなかった。
これは本番と言うものが経済制裁、あるいは日本のそういう監視が強化された中で行われているというのが、私はその背景にある。
あるいは重要な原因だと見ています。
・・・その2に続く・・・
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