ふたたびモンゴルより中国・北朝鮮
ふたたびモンゴルより中国・北朝鮮
蒼き星々掲示板の投稿より
投稿者:やまつみの声 投稿日:2007年10月16日(火)
いま、モンゴルの国民人口は260万人、北朝鮮よりも少ない。しかしモンゴル族は2000万人もいる、その多くは中国内モンゴル自治区とロシアシベリアに分布する。もともとソ連・中国の密約で行われたその分割の目的は、「モンゴル族の愚民化・無力化」にある。清朝支配時代から中国はモンゴル族の有能な青年を選んで(結婚できない)僧侶にしていった。辛亥革命後もソ連・スターリン支配時代には、その僧侶を中心に知識・支配階層の国民10数万人が片っ端から粛清されていった。この有能・知識階層の喪失はいまだに禍根を引きずる。カンボジア・ポルポトの原型もここにある。そしてそれは、スペイン人コンキスタドーレ(征服者)によるインカ帝国の知識階層の選択的虐殺処刑に遠く呼応する(知識階層が消滅したため剃刀の歯も通さないインカ壁の石積み加工技術もナスカの頭蓋手術も歴史の闇に閉ざされたまま全く今に伝わっていない)。
蒼き狼チンギスハーン。モンゴル人にとって建国の英雄であるが、ロシア・東欧人には「タタールのくびき」の元凶であり、その名をソ連圏社会主義時代には公然と口にすることもできなかった。当時の学校教育のモンゴル史は1921年の社会主義革命から始まり、それ以前の歴史は教えることを禁止された。しかしソ連圏からの独立・自由化を機にチンギスハーンの名誉も復活、今の英雄視ぶりは過剰なくらいである。昨年は国を挙げて「チンギスハーン建国800年」を祝った。
つまり、歴史は「作られる」ものであり、「消される」ものなのである。歴史認識問題とはとどのつまり「誰のための歴史か」という問題である。
その歴史が動くとき、特に社会主義から資本主義への急速な転換期は政治・社会腐敗を生む。東欧・ソ連だけではない、モンゴルでは今それが進行している。マスの経済は向上しつつも貧富の差の拡大が国民の精神不安定を生じ殺人事件も増え新興宗教に流れる連中が急増している。そういう中に資本主義化の陰の汚物として発生したマフィアがいま経済から政治マフィア化しつつあり、中国との結託をはじめた。
最近ウランバートル市内名物の「マンホール・チルドレン」(と聞いてわからない人は「天才柳沢教授の生活124~126話ご参照)が減ってきた。経済が良くなったからではない。中国人がかっさらってマカオ経由で女は売春、男は臓器売買に回され(つまり殺され)ているらしい。中国ブローカーは政治家とマスコミを(賄賂で)おさえているから、政治問題化せず市民の「噂」に留まっている。
独裁政治体制が解かれた直後の社会の混沌は、そういう連中にとってはとっても「おいしい」餌だらけの社会でもある。ハゲタカは腐った内臓を飲み込んで食う。東アジアにあと残る餌場が、「北朝鮮」。
(いま日本で活躍するモンゴル力士は、こういう社会の混沌の中でモンゴル国民が精神的によすがとする「民族の英雄」であり、朝青龍問題をそういう視点でも少しは見てほしい・・・と朝青龍の同郷の知人にさっきウランバートルの居酒屋でたのまれた)
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